トーマスとファウラーが復帰をサポートした
洋の東西を問わず現在ツアーで活躍している選手に「アイドル=憧れの人」を聞くともれなく「タイガー」という答えが返ってくる。ジャスティン・トーマスもそのひとり。だがいまや彼はタイガーにとって“親友”であり“恩人”でもある。
2017年8月の全米プロゴルフ選手権でトーマスがメジャー初制覇した直後、彼はワナメーカートロフィー(優勝トロフィー)を携えタイガーの自宅を訪ねている。そのときの笑顔のツーショットがSNSにアップされると「2人はどんな関係?」と大きな話題になった。
当時タイガーは術後のリハビリ中。「ドクターからゴーサインが出てアプローチ練習を再開させた」とツイッターで報告したのが9月1日だから、トーマスの優勝報告の2週間後にはかなり精度の高いショットを打っていたことになる。
その前後タイガー復帰の道のりを支えたのがフロリダ、ジュピターアイランドに住むご近所さんトーマスとリッキー・ファウラーだった。
トーマスとファウラーは頻繁にタイガーの自宅を訪ね裏庭に設えられた立派な練習施設で家主とともにアプローチ合戦に興じていた。ときには「外出するのが億劫だ」というタイガーをディナーに誘い出し、本格的に体調が回復してからは「カモン、タイガー! 9ホールでいいからコースに行こうよ」と声をかけ重い腰を上げさせた。
2人のサポートによって次第に明るさを取り戻したタイガーはゴルフでも2人を驚かすような長足な進化を見せ2018年シーズン競技に復帰するのだ。
「素晴らしい友人(トーマスやファウラーのこと)がいたからいまの自分がある」とタイガーがいうのは若い2人が背中を押し、寄り添い続けてくれたという実感があるからだ。
思えば前回(2年前)のプレジデンツカップでアシスタントキャプテンを務めたタイガーは「もう2度と競技に出ることはできないかもしれない」と引退を示唆するような弱気なメッセージを残していた。
その彼が2018年のツアー選手権で復活優勝。今年のマスターズでメジャー15勝目を挙げZOZOチャンピオンシップでツアー最多タイの82をマークした影には若きライバルたちの後押しがあった。
初日に続き2日目もトーマスとのペアで松山組と対戦するプレイングキャプテン。「(トーマスやファウラーとの)マネーマッチ(ちょっとした賭け)には負けない」と笑顔で語るタイガーは心の底から2人のことがお好きなのだ。