100切りなどベストスコア更新、あるいはコンペでの優勝……年が明けてその年の目標を立てるゴルファーは少なくないはず。そして、新年の目標を首尾よく達成し、レベルアップを果たすためには「報酬の設定」がポイントになるのだとメンタルコーチ・池努はいう。一体どういうことか?

ゴルフや他のスポーツ、または仕事でどんどん目標を達成していく人、レベルアップをしていく人にあなたはどんな特徴を感じますか? 貪欲である、ストイックである、楽しんでいる、継続性があるなど人により意見は違い、様々な特徴をあげられるかと思います。

私は現在まで沢山のプロアスリートのメンタルコーチをしてきましたが上記のように「成長を続けていける人」の特徴の1つに「競技、そして日々のトレーニングを楽しんでいる」ということをあげます。どのように楽しんでいるかというとイメージしやすい言葉を使えば「ワクワク、ドキドキ」しているということです。

まるで子供が公園の遊具で夢中になり遊んでいる、またはゲームに夢中になっているかのように練習、試合、日常生活を楽しんでいるのです。プロアスリートと聞くと、とにかく歯を食いしばってストイックに技術練習やフィジカルトレーニングをやっているイメージが先行しますが、そのような一見ストイックに見える筋トレですら楽しんでいることが本当に多いです。

なぜ、そのように楽しみながらレベルアップをしていけるのか? 今回はその楽しむコツについて紹介していきます。

画像: 楽しみながらレベルアップするためのコツとは?(撮影/有原裕晶)

楽しみながらレベルアップするためのコツとは?(撮影/有原裕晶)

私たちがワクワク、ドキドキするとき。それは、ゲーム感覚があるときです。現在は、スマートフォンの普及により空き時間などで簡単にゲームを楽しめる環境になりました。なぜ、子供から大人までゲーム熱中してしまうのでしょうか? その理由の1つははまってしまうゲームは「報酬の設定」が秀逸だからです。

例えば、「スーパーマリオブラザーズ」のようなアクションゲームではステージをクリアするごとに難易度があがり、毎回「頑張ればなんとかクリアできそう」というレベルが設定されていきます。その設定にプレーヤーの私たちはハラハラ、ドキドキしながら「なんとかクリアしたい! あと少しでクリアできる!」と時間を忘れ、熱中してゲームにのめり込む。

つまり、私たちはクリアすることで得られる高揚感や達成感などの「報酬」を得るために全力を注いでいくのです。そして、「このステージをクリアすればラストステージにいける」と報酬を手にしたくて熱中することでゲームのスキルもいつの間にかレベルアップしていきます。

コロンビア大学による2016年の研究で研究者は被験者にスペイン語を覚えるように指示し、その際に問題の難易度を「解くのは簡単」「なんとか解けそう」「解くのが難しい」のパターンに分けました。その上でさらに暗記中の集中力レベルを計測すると「なんとか解けそう」な単語を覚えていったグループがトップとなりました。作業の難易度が低すぎても高すぎても私たちの集中力は下がってしまい、「なんとかできそう!」という難易度にチャレンジすることで集中力も高まるのです。

サポートするプロアスリート達は毎日の練習や毎週の試合でこの「報酬の設定」をうまくやっています。練習では「この技術を高めたい!」とワクワクし、試合では「このプレーをして、この結果を出したい!」と子供がスポーツに熱中するようにチャレンジをしています。

これらの「報酬の設定」はこの記事を読まれているゴルファーの方にも応用できるはずです。練習場でのドライバー練習では「10球中6球はこの範囲に打つ」、アプローチ練習で「20球中10球はこの範囲に入れる」などとゲーム形式で設定する。「頑張ればできる」と思えるスウィングの習得を目指す。ラウンドではシンプルに「なんとかいける」というスコアを自分で設定し、チャレンジする。前半でそのスコアが難しそうなら、後半にもう一度、目指したいというスコアを再設定する。

このように「なんとかできそう!」とチャレンジすれば達成できるレベルの目標を練習やラウンドで設定することでよりゲームに近い状態でレベルアップにつながるかもしれませんね。ストイックにレベルアップを目指すことも大事かもしれませんが、今回紹介したように「報酬設定」をすることでワクワク、楽しみながらゴルフをすることもレベルアップへの選択肢の一つだと思います。ぜひ、応用してください。

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