2019年末から今年にかけてニューモデルが発表ラッシュを迎えている。やはり「飛距離アップ」を謳ったものが多いが、それがどうやらドライバー以外にも当てはまってきているようだ。業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人が最新クラブの特徴を考えた。

飛距離も大事だけどゴルフの楽しみ方によってクラブを選ぼう

みなさんこんにちは、ギアオタク店長の小倉です。今日は最近ちょっと感じたことをお話したいと思います。

さて、昨年末から今年に入って新製品が多数発表され、ドライバーからアイアンまでたくさん試打させて頂きました。そんな中強く感じたことは、どのジャンルのクラブも強く飛距離を重視した設計になっているなぁということ。

ドライバーはもちろんですが、フェアウェイウッドやユーティリティ、アイアンまでもが飛距離を重視した設計になっていると感じました。

少し前までは、ドライバーはともかくそれ以外のジャンルのクラブは安定性や許容性の高さをアピールしていたと思います。もちろん今までも飛距離も売りにしていたクラブもありましたが、最近業界全体としてどのクラブジャンルも“飛び推し”が顕著だなと思うのです。

ヘッドサイズが小さく、重量もある程度必要なためドライバーより効果が薄い上にコストもかかってしまうチタンなどを使った複合素材のフェアウェイウッドが、コストにシビアな海外メーカーからも登場するようになりましたし、チタンやカーボンを用いたユーティリティまでもが作られるようになっています。

画像: 一発の飛びがすごいクラブはやはり楽しいし飛べば嬉しいものだが……(撮影/三木崇徳)

一発の飛びがすごいクラブはやはり楽しいし飛べば嬉しいものだが……(撮影/三木崇徳)

少しでも飛距離が伸ばせる、ミスの許容性が高められるなら積極的にやっていこうという姿勢を感じますね。もちろんその分のコストは販売価格に反映されてしまうのですが、どれも好調なセールスを記録していると聞いています。ターゲットを狙うクラブであるアイアンもやっぱり飛距離が出るクラブが売れているそうです。

私は立場上様々なゴルファーとお会いする機会がありますが、大半のゴルファーが「そりゃ飛んだほうが良いに決まってる!」という考えだなと感じます。上級者やプロも含めてです。それだけ飛距離に対して需要が大きいのであれば、こういった方向にクラブ作りが進むのも頷けます。加齢によって飛距離が落ちてきてしまっている方々にとっても飛ぶクラブはやっぱり魅力的。売れるもの作らないとメーカーとして成り立たなくなっちゃいますからね。

実際にそういった飛び系のアイアンを使ってラウンドをさせて頂くことがありますが、やっぱり飛ぶって楽しいです。短い番手表記のクラブで長い距離を狙えるのはやっぱり優越感がありますよ。誰も見てなくても後で誰かに言いたくなります(笑)。

その反面、スコアを重視したゴルフを考えると過剰な飛びはいらないなとも思います。飛距離にこだわり過ぎるクラブは、ボールの操作性やミスの許容度がどうしても下がってしまうので、予想以上・予想外のミスが出やすくなってしまいます。一方最近のアスリートモデルアイアンの、昔のモデルと比べてちょっとだけ飛ぶ感じはそのギリギリをついた性能で、良い出来なモデルばかりです。

“飛び”はゴルフの中でもっとも分かりやすい、体感しやすい魅力だと自分は思っています。しかしある程度振れる方にとっては飛びを追求しすぎるとスコアメークにマイナスに作用してしまうことだってあり得ます。それでも、スコアを追求するあまり、飛距離の魅力を全部抑制してしまうのもゴルフの楽しさが減ってしまう気がするのです。

長々と書きましたが、何が言いたいかと申しますと、視点を変えればクラブに求める性能も、ゴルフの楽しみ方もまったくと言っていいほど変わるということ。一発の飛びを楽しむのも良し、良いスコアを目指して1打1打に一喜一憂するのも良し。ゴルフには色々な楽しみ方があります。

飛距離重視傾向のクラブが増えてきたとはいえ、まだまだ操作性重視のクラブもたくさん市場にあります。是非自分なりのゴルフの楽しみ方を見つけて、そのスタイルに合ったクラブを見つけてもらいたいなと思います。

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