PGAツアー「ファーマーズ・インシュランス・オープン」を取材する月刊ゴルフダイジェストのツアー担当・ケンジロウ。2日目はタイガー・ウッズのスタート前練習を完全レポート!

タイガーと松山は4アンダー17位タイで決勝ラウンドへ

ケンジロウです。サンディエゴのトーリパインズGCよりお届けしております。

「ファーマーズインシュランスオープン」予選ラウンドの2日目が終わりました。注目のタイガー・ウッズはいきなり出だし4パットスタートで予選通過なるかひやひやしましたが、その後、前半で3バーディと盛り返し、トータル4アンダーでフィニッシュ。

17位タイとまずまずの位置で決勝ラウンドを迎えることとなりました。日本人選手は松山英樹がノースコースで5つスコアを伸ばしてタイガーと同じトータル4アンダーの17位タイでフィニッシュ。小平智はトータル4オーバーで残念ながら予選落ちとなりました。

画像: ファーマーズインシュランスオープン参戦中のタイガー。ティオフの前の練習ではなにを何球打った?(撮影/姉崎正)

ファーマーズインシュランスオープン参戦中のタイガー。ティオフの前の練習ではなにを何球打った?(撮影/姉崎正)

さて、今日の話はそのタイガー・ウッズです。ZOZOチャンピオンシップで通算82勝を挙げたのは記憶に新しいですが、今週は83勝目を狙って相性のいいトーリパインズに乗り込んできました。

火曜日の練習を見ていた限りショットはさらに凄みをまして、体がしっかり作れているのかさらに振れるようになった印象を受けました。

画像: 83勝目を狙うタイガー。そのショットは“キレキレ”(撮影/姉崎正)

83勝目を狙うタイガー。そのショットは“キレキレ”(撮影/姉崎正)

実際に試合が始まってもショットはキレッキレで、特にアイアンショットは高い確率でピンに絡んでいましたね。

タイガーは試合前「100球」練習。ひとつとして同じ球はなし!

今日は、スタート前のタイガーの練習を見ようと、タイガーが好きな練習場の奥側の打席で“虎”を待ち構えていました。

10時40分スタートの約55分前9時45分ごろにタイガーは颯爽と打席に現れました。どのクラブを使って、どんな練習をするのか? 観察してきたので、ここからはその内わけを紹介していきましょう。

画像: タイガーはどんな練習をしていた?

タイガーはどんな練習をしていた?

【1】サンドウェッジ 計9球

15ヤードぐらいをポーン、ポーンといろんな方向に打ち分ける練習場のグリーンに向かって打っていました。

【2】サンドウェッジのハーフショット 計33球

まずは腰から腰ぐらいの振り幅のハーフショット。キャリー50ヤードぐらいを6球。そこからだんだんと出力を上げて、次に80ヤードぐらいを10球。そのあとスリークォーターで10球。続いてトップが浅いフルショットを3球。最後にトップが通常のフルショットを4球。フルショットではドローとフェードを打ちわけていました。

球を打って暑くなってきたのか、ここで着ていたセーターを脱いで、半そでに。キャディのジョーと話すなどして、けっこうリラックスモードです。

【3】8番アイアンのフルショット 計25球

ドロー、フェードを打ちわけ。他にもハイカット、ロードローなども、それぞれ交互になるように打っていました。

【4】4番アイアンのフルショット 計4球

途中でヤーデージブックをチェックしながら打つ。球の落ち際を真剣に見ていました。

【5】5番ウッドのフルショット 計2球

再びヤーデージブックを見てキャリーを確かめる。ドロー、フェード1球ずつ。

【6】3番ウッドのフルショット 計3球

同じくドロー、フェードを打ちわけ。

【7】ドライバーのフルショット 計8球

ドロー、フェードと球を打ちわけ。

【8】8番アイアンのフルショット 計8球

ドロー、フェード、ハイドロー、ハイフェード、ハーフショット、フルショット、スリークォーターなど、いろんな弾道を打ちわけていました。

【9】サンドウェッジのハーフショット 計4球

60ヤードぐらいをポーンといろんな方向に。

【10】サンドウェッジのロブショット 計2球

10ヤードぐらいのロブショット。

【11】ドライバー 計2球

ロブを打ってから、顔の汗をぬぐって、リップクリームを塗ってひと呼吸おいてから、ドライバーを手に取る。ドローとフェード1球ずつ。

練習はざっとこんな感じで、スタート20分前の10時20分ごろに終了。トータルで35分、球はちょうど100球を打ち、ほどよく汗をかいた感じでしたね。最後にトイレに行ってから練習場をあとにしました。

画像: どこに行っても大人気。試合の中心にいるのはもちろんタイガーだ(撮影/姉崎正)

どこに行っても大人気。試合の中心にいるのはもちろんタイガーだ(撮影/姉崎正)

タイガーの練習を見ていて気付いたのは、ひとつとして同じ球がないということ。1球1球ドローやフェード、さらに球の高さを変えたりして球を打ちわけていたのが印象的でした。そして球の落ちどころを必ず見ていましたね。

タイガーの周りではトラックマンなどを使ってキャリーの距離の計算をしている選手もいましたが、タイガーの練習を見ていると、ゴルフの原点を見ているようでなんだか安心しますよね。

タイガーが練習場から去ったあと、以前プロコーチの目澤秀憲さんに取材したときに聞いた話を思い出しました。

「プロの練習には二つのタイプがあって、ひとつがブロックプラクティスもうひとつをランダムプラクティスと呼んでいます。ブロックプラクティスとはひとつのことをやって欠点を補うような練習のこと。つまり自分が抱えているショットの悩みを修正するような練習です。もうひとつのランダムプラクティスは、ひとつひとつの球をいろんなところに打ったり番手を変えて違う球を打ったりして、自分の状態を確かめるような練習です。両方とも大事なのですが、トップ選手ほどランダムプラクティスに割く時間が長いんです」

タイガーの練習はまさにこのランダムプラクティスで朝の自分の状態を確かめていたんですね

(ちなみに我々アマチュアは、ほとんどの時間をブロックプラクティスに費やしているそうです)。

さあ、トップを狙える位置で週末を迎えたタイガー。果たして83勝目なるか、残り二日間、注目してみてみましょう。

キャディとモメたウルフ、テーラーの副社長をキャディにカムバック

そういえば、今日ひとつびっくりしたことがありました。マシュー・ウルフがテーラーメイドの副社長のキースさんをキャディにしていたんです。なんでも昨日76を叩いた後にエースキャディともめてキャディが帰ってしまったみたいなんです。

そこでキースさんに白羽の矢が立ち、急遽、担いだみたいなんですよ。キースさんはアリゾナ州立大学のゴルフ部出身でフィル・ミケルソンと同期。副社長の肩書を持ちながら、タイガーやマキロイ、ダスティンといったテーラーの大物契約選手からの信頼も厚いレップでもあるんです。

キースさんが担いだ今日のウルフは6アンダーを出して、見事カムバック。テーラーメイドの副社長、期待の若手契約選手の予選通過を見事アシストしましたよ。

This article is a sponsored article by
''.