ミズノの「世界戦略」ドライバーが登場
メジャーチャンプであるブルックス・ケプカがアイアンを愛用するなど世界レベルで注目を集めるミズノが満を持して発表したのが、「ST200」シリーズだ。このシリーズは、アメリカで行われた世界最大のゴルフ見本市PGAショーでも高い関心を集めていた。
STシリーズは海外向けに発売されてきたシリーズだが、今回のST200では「世界戦略」を掲げ、日本でもST200とST200Xと2モデルヘッドが発売される。
2モデルの特徴を簡潔に言えば「ST200はどちらかというとアスリート向けでしっかりと叩いていける特性、ST200Xはミスの許容性を考えた適度につかまる特性といった性能分けがされています」と小倉氏。他のメーカーと違うポイントとして2モデルとも「ロフト設定が1タイプしかないこと」が印象的だという。
「ST200は9.5度、ST200Xは10.5度のみです。弾道調整機能の一環としてロフト角を調整できる機能を持っていますからデメリットはありません。むしろ、ターゲットのゴルファーに適正なヘッドを手に取ってもらうには良い手法だと思います。やさしく飛ばしたいと考えるゴルファーは、なかなか9.5度は手に取りませんからね」
このST200シリーズは世界戦略モデルだけに販売する国のゴルファーに合わせて細かく設定を変えているようだ。
「日本で発売されるST200シリーズには純正シャフトはもちろん、カスタムシャフトも数多くラインナップされていますが、中でもST200Xには独自で開発された純正シャフト『20 MFUSION F』と『PLATINUM MFUSION F』が用意されています。カーボンナノチューブを使用した、軽いのに暴れないという特性を持ったシャフトです。海外仕様でもラインナップにあるのかもしれませんが、こういったモデルの需要は日本に多くあり、そういったゴルファーを取り込むためにしっかりときめ細かくスペックを用意するのはとても好感が持てますね」
今回の試打に用いたシャフトは、ST200Xが「20 MFUSION F」、ST200が「ツアーD GM-200 D」。いずれもSフレックスを使用し、ネック調整機能はイジらずニュートラルな状態で打った。
アスリートモデルらしい性能の「ST200」とややマイルドな「ST200X」
まずはST200の構えた印象から教えてもらおう。
「座りが良いですね。ポンとヘッドを置いた時に、左を向くクラブはつかまりすぎを想像させるので上級者からは敬遠されがち。ST200はやや右を向く座りでとても安心して叩いていける作りです。サイズは460ccで、投影面積もやや大きめですが、鈍重なイメージはないですね。シャローバック形状で余計なプレッシャーも感じません。奇麗な丸顔で誰でも気持ち良く構えられる形状に仕上がっています」
打球に関しては「高さが楽に出て、大きいキャリーの弾道が自然と出ます」と評価した小倉氏。つかまりに関してはアスリートモデルらしく「やや抑えられている印象」だという。
「スピンはびっくりするほど低スピンというわけではないですがよほど芯を外さない限り、余計なスピンは入らないので、曲がりも少ないです。ヘッドの形や座りの時に与える性能と実際に打った弾道の性能が見事に一致したモデルですね」
対するST200Xはというと、「これまた座りが良いんです」とこちらも高評価。
「サイズはST200同様460ccで形状もほとんど差はありませんが、座りが違います。ちょっと開いた形に座るST200に対してST200Xはほぼ目標を向いた位置に落ち着きます。こういった打つ前の印象は実際のショットに小さくない影響を与えますので、このきめ細かなこだわりはユーザーにとって凄くうれしいですね」
実際に打ってみると「やはり印象通りの弾道が打てました」という小倉氏。ST200と比べるとややつかまり感はあるが、「極端ではなくフックが出るような印象はありません」という。
「しっかりと高くボールを打ち出し、余計なスピンを入れない直進性の高い弾道を楽に打てるような特性に仕上がっています。またこちらのモデルにはMFUSIONのシャフトが入っていたのですが、軽量でありながら強振してもつぶれすぎないしっかりした振り味でした。振れば振るほど飛距離に繋がりそうなシャフトですね」
では試打を終えた小倉氏に、それぞれの性能をまとめてもらおう。
「ST200はいわゆる一般的なアスリート向けのモデルに仕上がっていますが、ST200Xは強い弾道を打てる性能を持たせつつ、軽めの補正能力で、スウィング通りの素直な弾道が打てるモデルになっていました。試合などで強振するならST200ですが、安定したスウィングでコースを攻めていくならST200Xの方が良さそうですね。予想外のミスが出にくいバランスの良いモデルに仕上がっています」
協力/ユニオンゴルフクラブ