コンスタントに予選を通過して、「うまくいけば優勝できると思う」
「プロゴルファーは就職で仕事なので、生活もかかってくる。アマチュアのときはお金が出て行っちゃうけど、そこが一番違うかなと思います」(安田祐香、以下同)
プロの試合でも度々上位でプレーをしている安田にとって、プロの試合に出場すること自体はすでに何度も経験していること。それだけに、成績に応じて“給料”がもらえるプロ入りは「就職」という感覚になるのかもしれない。
プロゴルファーとなることを就職であり仕事と冷静にとられられる。安田祐香というプレーヤーは、注目を集めることが必至のプロデビューを前にして、浮き足立っているようには見えない。
では、安田は“社会人1年目”となる2020年シーズンはどんな目標を立てているのだろうか。そこにも安田の冷静さがにじむ。
「予選落ちをしないこと。常に20~30位で争っていたら、うまくいけば優勝できると思うので、もちろん優勝したいんですけど、常に安定したプレーができたらいいなと思います」
滝川第二高校の同級生でライバルの古江彩佳がアマ優勝を果たし、安田自身も優勝の可能性のある試合も経験済み。しかし「まず1勝」「早く勝ちたい」という言葉ではなく、出てきたのはコンスタントに20〜30位にいれば、いつかは優勝できるはずという冷静な認識だ。
そして、その先の目標についてもしっかりと、やはり冷静に見据えている。
「誰からも尊敬してもらえる選手になりたいです。『この人になりたい』って思ってくれる子供とかが増えてくれたら嬉しいです。そのためにも、日本で活躍して、それでチャンスがあればアメリカに行きたいと思っています。でもまずは賞金ランク毎年10位以内に入りたいなと思います」
まずは予選通過、その先に優勝。そして、まずは日本でランク10位以内、その先に米ツアー。やはり、目標を叶えるために、まずは足元を固めるというのが安田の基本戦略のようだ。
そして、最終的にはアメリカでという思いは、2019年に出場したある試合で強く思ったそうだ。
「去年のメジャー(エビアン選手権、全英女子オープン)に出場して、もう一度出たいと思いました。(米ツアーだと)毎週違う国で戦うので、暑いところから寒いところに入ったり、芝とかも全然違うので、難しさが違いますね」
安田は昨年アマチュアとしてメジャーに出場し、2試合連続で予選通過を果たしている(結果は37位、59位)。その2試合目が渋野日向子が優勝した全英女子オープン。もちろん、それは大きな刺激となったはずだ。
そんな安田は現役の「女子大生」でもある。「ゴルフばかりならないようにしたい」と大手前大学に籍を置いたままプロ生活をスタートさせる。
「プロゴルファーを引退してからも人生は長いので、それに活かせるものがあればなと思いましたし、英語の勉強もしたいです。あとは視野を広げて“ゴルフゴルフ”にならないようにしたいなと思って進学したので、ツアーに参戦しながらも行けるときに行って、両立したいなと思います」
ケガに悩まされ、「腰があまりよくないので、腰の周りの筋肉をつけたり、体力つけます!」と左打ちの練習を取り入れるなど開幕戦に向けて準備万端。無限の可能性を秘めた女子大生プロゴルファー・安田祐香のプロデビューは一月後、3月5日に迫っている。