「真っすぐ」が勝負球の選手はゼロ
「ジェネシスインビテーショナル」には世界ランク10位中9人の選手(7位のウェブ・シンプソン以外)が参戦していました。 練習場や試合中に観察する機会がありましたのでドライバーショットの持ち球やダウンスウィングのポジション比較をさせて下さい。
まずは世界ランク順に持ち球と昨シーズンの最高クラブヘッドスピードの数値(秒速メートル)のリストです。
世界ランク | 名前 | 持ち球 | ヘッドスピード |
1 | ロリー・マキロイ | プッシュドロー | 55.5 |
2 | ブルックス・ケプカ | フェード | 56.2 |
3 | ジョン・ラーム | フェード | 54.4 |
4 | ジャスティン・トーマス | 微フェード | 54.0 |
5 | ダスティン・ジョンソン | フェード | 55.1 |
6 | パトリック・カントレー | 微ドロー | 53.0 |
7 | ウェブ・シンプソン | ドロー | 51.0 |
8 | タイガー・ウッズ | フェード | 57.4 |
9 | ザンダー・シャウフェレ | ドロー | 55.0 |
10 | ジャスティン・ローズ | ドロー | 52.3 |
選手やキャディ、または専属のスウィングインスタラクターと話をして球筋を確認しましたところ、世界ランク上位10名だとドロー5人、フェード5人という内訳でした。
勝負球は「真っすぐ」という選手はおらず、言葉としてはドローやフェードよりも「左から右」、右から左」という言葉を使うケースが多かったです。曲がり幅が大きいフックやスライス球を打つときもあります。
タイガーはデビュー当時は高いドローボールを打っていましたが、その後左から右回転の球で安定度が高くなりました。またメジャー優勝経験があり、世界ランク1位にも輝いたことがあるダスティン・ジョンソンはツアーデビュー時は右から左のフックボールを持ち球にしていましたが、その後逆球の左から右へ攻める打ち方にしてから全米オープンを制しました(2015年)。
タイガーは2週間前の試合でこう話していました。
「(自分がドライバーに求めるのは)飛距離が落ちても良いから左から右に曲がるカット(フェード)でしっかりフェアウェイに置くのが大事。飛距離が必要なときは逆に右から左に曲がるドローボールが打てることも重要なクラブ選びの要素」
新しいドライバーにしてからボールスピードが時速1マイル(0.44メートル秒速)速くなったそうです。
さて、今回は出場した9人のダウンスウィングのポジションを比べてみました。ダウンスウィング途中のポジションを英語では「スロット」と呼ぶのですが、トッププロはテークバックやトップの位置がそれぞれ異なってもやはりこの「スロット」のポジションは似ています。トッププロはボディターンやクラブヘッドのリリースの仕方で球の操作をしてきますが、是非この「スロット」ポジションを参考にしてみてください。
一方持ち球の違いによって、アドレスの構えでのスタンスや肩のラインが異なることが確認できます。アドレスとクラブフェースの微調整でコントロールをしているケースが多いのですが、ドローヒッターとフェードヒッターの違いと挙げてみましょう。
ドローヒッター:切り返してから肩のラインは目標に対しできるだけ長くクローズド(右)の意識が強いです。手先でフェースを閉じているわけではないですが、インパクト後のクラブフェースは閉じています。フォロースルーでクラブヘッドは左肩の付近、または肩よりも上を抜けていきます。
フェードボールヒッター:フェードボールヒッターが嫌がるのは切り返しからダウンスウィングでクラブヘッドやシャフトが背中側に深く入り過ぎること。インパクトでは胸が開き左肩がローテーションしてオープンになるケースが多いです。インパクト後はクラブフェースを必要以上に閉じないように身体のローテーションでクラブフェースをコントロールします。フォロースルーでのクラブの出口は左肩よりも下のライン。 前傾姿勢が深い選手は肩のラインに抜けるケースもありますが、通常は低い位置に抜けていきます。
是非このようなトッププロのスウィングポジションを参考にして皆さんも理想の持ち球を取得できるように研究され練習を重ねてみて下さいませ。