「クローズにフェースを使いたいというのがあった」
アダム・スコットが「日本オープン」に参戦した際には必ず取材していましたが、改めて昨年10月の日本オープンと「ZOZO選手権」で2週続けて間近で見る機会に恵まれ、日本オープンでは少し話もできました。
そのときは、「スウィングのフィーリングはかなりよくなってきているけど、日本オープンはセッティングが難しいからフェアウェイに置くことが最優先だね」と語っていたアダム。
練習場ではキャディにスマホで動画を撮ってもらいながら入念にアドレスの姿勢、そして動き出しの部分をチェックしていました。
動き出しでは手元を少し先行させ、後からヘッドが動き出すような仕草を行なっていて、手先ではなく体の中心部を動かすことでクラブをコントロールする意識を強調しているように見えました。
それから少し後、昨年末にアダムが「オーストラリアンオープン」を制した際には、「クローズにフェースを使いたいというのがあったんだ。口じゃ上手くいえないけれど“ここ”に上げるっていうポイントが見つかったのが大きかった」とコメントしていました。
そこで、似たような画像を探してフェースの向きを比べてみました。画像A左は2018年の全米プロ。右が昨年10月の日本オープンです。どちらもティショットで、どちらもロングアイアンを手にしていますが、フェース面を見比べると、2018年に比べると2019年はフェースが空を向く度合いが増しているのがわかります。
トップの位置でのフェースの向きを見てみると左の2018年と比べると右はフェースがやや空を向くようにスクェアからシャットな向きに変わっています。スッと上げた位置でフェースの向きがスクェアからややシャットになるようになったことで自然とボールがつかまり、気持ちよく振れるようになったんだと思います。
昨年のアダムの勝利時にもうひとつ話していたのが、ポスチャー(姿勢)の重要性です。まさに、日本オープンで徹底的にこだわっていた部分ですが、写真を改めて見てみると、腰から後頭部までを真っすぐにして、重心はつま先寄り。お尻のラインから真下に線を下ろすと、かかととの距離が短く、腰の位置を高く保つように構えています。
足裏全体やかかと寄りに重心を置くプロもいるのでタイプの違いではありますが、183センチと長身のアダムの場合、高く構えることでスウィングアークが大きくなる、入射角がゆるやかになるなど様々なメリットが考えられます。
マスターズ制覇は成し遂げていますが、他のメジャーを勝っていてもおかしくないポテンシャルは十分にあるはずです。2016年以来なかなか勝てなかったアダムが、昨年末に勝利し、間をおかずにPGAツアーでもマキロイら世界のトップを抑えて勝利。今シーズンはアダム・スコットの大きな活躍が期待できそうです。