フェアウェイウッドとは
フェアウェイウッドとは、文字通りファアウェイから使うウッドのこと。ただ、もちろんフェアウェイ専用というわけではなく、ラフからでもバンカーからでも使ってOK。いずれにしても、基本的にはティアップした状態でしか使わないドライバー(1番ウッド)に対して、地面の上から直接打つことを想定してデザインされているのがフェアウェイウッドといえる。
ドライバーが1番ウッドなので、以下、2番ウッド(ブラッシー)、3番ウッド(スプーン)、4番ウッド(バフィ)、5番ウッド(クリーク)と続き、以下、6番ウッド、7番ウッド、9番ウッド、11番ウッド……と数字が増えるほど基本的にロフトが寝て、長さは短くなっていくのだが、このうち2番ウッド、4番ウッド、6番ウッド(とくに6番ウッド)は絶滅危惧種的存在になりつつある。また、11番ウッド以下の番手もあまり一般的とは言い難い。
大手メーカーの作るフェアウェイウッドの場合、3番ウッド、5番ウッド、7番ウッドに加えて9番ウッドのラインナップがあるかどうか……というのが昨今のフェアウェイウッド事情といえる。
フェアウェイウッドの番手とロフトの関係
一般に、ドライバーからサンドウェッジに至るまでの13本のクラブは、およそ4度のロフトピッチでフローさせるのが良いとされるが、3番ウッドは大体15度前後、5番ウッドは18度前後のロフト設定が一般的だ。以下、7番ウッドは20〜21度前後、9番ウッドは23〜24度前後となる。
男子プロの場合、3番ウッド、5番ウッドまでを入れ、その下には3番アイアンやアイアン型ユーティリティを入れるというケースが多くある。女子プロの場合はケースバイケースだが、ボールを上げやすい(=グリーンに止めやすい)7番ウッドや9番ウッドを多くバッグに入れるケースも多い。
ただ、最近ではフェアウェイウッドよりも短いぶん取り扱いやすいウッド型ユーティリティがプロアマ問わず人気であり、18度の5番ウッドの下は21度、24度のウッド型ユーティリティを入れるというゴルファーは多い。
もちろん好みの問題ではあるが、フェアウェイウッドはユーティリティに比べヘッド体積が大きい場合が多く、そのことでより重心を深く、低くできる。そのためミスヒットに強く、飛距離性能も高い。長い分だけヘッドスピードが上がりやすいことから、飛ぶだけでなくボールを上げやすいという側面もあるため、人によっては同じロフトのユーティリティよりフェアウェイウッドのほうがやさしく使えるというケースもある。
フェアウェイウッドの番手はどう選ぶ?
また、プロの場合はほぼ入れるのが当たり前の3番ウッドだが、最近では「必要ない」と抜くアマチュアゴルファーが徐々に増えている印象だ。
3番ウッドはドライバーの次に長く(つまり取り扱いが難しく)、ドライバーの次にロフトが立っている(つまりボールが上げにくい)。地面から使った場合にドライバーを除けばもっとも飛距離が出せるクラブである反面、もっとも難易度の高いクラブであり、アマチュアには難しいというのがその理由だ。
また、十分なヘッドスピードがないとボールを上げ切ることができず、ナイスショットを比較した場合でも5番ウッドのほうが飛ぶという逆転現象が起きるということもありえる。
もちろん一概にはいえないが、平均的なヘッドスピードの男性ゴルファーならば、ウッドはロフト18度前後の5番ウッドから、あるいは16.5度前後の4番ウッドを入れ、その下には7番ウッドを入れるというセッティングも検討の余地が大いにある。その分1本ウェッジを足したり、ユーティリティを足したり、あるいはティショット専用のショートドライバーを入れるという選択肢が得られるからだ。
いずれにせよ、3番ウッド、5番ウッドの2本を入れるのは基本だが、5番ウッドからでも問題はないし、4番ウッドを選択し、その下に5番あるいは7番を入れるということもありえる。初心者でイチからクラブを揃えるというのならば、ドライバーの下は7番ウッドや9番ウッドといった比較的取り扱いやすい番手をチョイスするというのも悪い手ではない。
フェアウェイウッドのシャフトはどう選ぶ?
さて、番手が決まったらスペックを選ぶという流れになるが、基本的には、フェアウェイウッドのシャフトはドライバーのシャフトよりも短く、重いものを選ぶのがベター。
フェアウェイウッドの、というよりも、パターを除いた13本のクラブはドライバーからサンドウェッジにかけて、少しずつ短く、重くなっていくと振り心地が揃えやすいからだ。
プロゴルファーのセッティングなどを見ていると、ドライバーと同じ銘柄のシャフトを3番ウッドや5番ウッドにも採用し、重量帯だけ重くする(たとえばドライバーが60グラム台ならFWは70グラム台など)といったケースが散見されるが、これなどはまさにウッド類の振り心地を揃えるための工夫と言える。
アマチュアゴルファーの場合、なかなかプロのように1本1本リシャフトして……というのはハードルが高いが、たとえば3番ウッドだけ軽すぎないかといったように、重さのフローくらいはチェックしておくとベターだ。
フェアウェイウッドの「目利き」
ショップに行くとフェアウェイウッドだけで非常に多くのラインナップがある。もちろん、試打をしたり店員さんにオススメを聞くというのが合うクラブと出会う最良の方法なのは言うまでもないし、とにかく自分の好みを最優先したいという意見にも一理がある。
ただ、ある程度の性能を見た目から判断できるようになると、フェアウェイウッド選びはより楽しくなってくるので、さわりの部分だけ把握しておいて損はない。
まずは、構えたときの見た目の大きさだ。いくつかのモデルを比べてみるとわかるが、その見た目の大きさはモデルによって異なり、基本的には大きいほどやさしくてミスに強く、小さいほどコントロール性能が高い可能性がある。
大きいヘッドは重心が低く、深い場合が多く、スウィートスポットが広くなりやすく、ボールを上げやすくなっていることが多い。一方、小さいヘッドはフェース面に厚みがあることが多く、その分だけ重心が高くなりスピンが“入りやすい”設計となりやすい。スピンがあったほうが球筋を操る上では有利なので、小さいヘッドはミスへの強さよりコントロール重視、すなわち上級者向けというケースが多いのだ。
このようにフェアウェイウッドでは、見た目(投影面積)が大きいとフェース面が薄い場合が多く、小さいとフェース面が厚い場合が多い。これは、それぞれシャローフェース、ディープフェースと呼ばれ、前者はやさしく、後者はハードになりやすい。
というわけで、基本的には見た目の大きさ、そしてフェース面の厚みをチェックすることで、フェアウェイウッドの性能は類推することができる。
また、ソール面のウェートがヒール側にあれば、つかまりのいいモデルである可能性が高い。ウェートが後方にあれば、ボールを上げやすく、ミスヒットに強い性能が期待できる。
シャフトに対してフェース面が後方(右側)にある場合、すなわちアイアンでいうグースネックのような構造になっているならば、やはりつかまりの良さを期待していいだろう。
これらはあくまで「そうである場合が多い」ということで例外もあり得るが、一定の目安にはなるはずだ。
フェアウェイウッドの構え方
さて、ここからはフェアウェイウッドの使いこなし方を見ていこう。解説は、プロゴルファー・中村修。まずは、構え方からだ。
「フェアウェイウッドを打ちこなすためには、まずボール位置に気をつけたいですね。フェアウェイウッドは長くて当てにくい、と思いがちですが、上手く当てようとするとボールを右足寄りに置きすぎたりしてしまいます。まずはボールの前で足を揃え、そこから左足を靴一足分、右足を靴二足分くらい開いてください。肩幅くらいの広さで、ボールが体の中心よりやや左にきていればOKです」(中村)
サンドウェッジと比較すれば一目瞭然だが、クラブの長いフェアウェイウッドは手元の位置が体の中心よりも左に来るのが自然。クラブをそっと地面に置いたときの角度の通りにクラブを持てば、自然と頭がボールより右にくる。
さて、これはフェアウェイウッドに限らないが、飛ばそうと目一杯に握るのではなく、グリップエンドは少し余らせるくらいで握るのがいい。そして、腰から前傾したら手を真下にダランと垂らしたポジションでクラブを持とう。
要するに、フェアウェイウッドだからと特殊な構えをする必要はない。体のポジションも、クラブのポジションもナチュラルな状態にしておくことが重要だ。
フェアウェイウッドの打ち方
では、打ち方において気をつけるべきはなんだろうか?
「大切なのは軸をブラさないことです。フェアウェイウッドは長い分当てにくく、ロフトが立っている分上がりにくいという印象の強いクラブ。しかし、当てに行こうと思えば頭が左に突っ込みみますし、上げようと思えばアオリ打ちになり、どちらもミスのもと。頭の位置をつねにボールより右側にキープすることで、軸を中心にくるっと回るようなスウィングをしやすくなります。右肩もカブりにくくなるので、構えたときに頭がボールより右にあることを確認し、その状態をキープしたまま振り切ることを意識してもらいたいですね」(中村)
また、払い打つ、打ち込む、どちらも意識も必要ないと中村はいう。
「フェアウェイウッドは横から払うように打ちましょう、といった話がありますが、私は『斜めに振る』ことを意識したほうがいいと思います。フェアウェイウッドは、クラブが長い分ポンと置けばスウィング軌道はおのずとフラットになるもの。打ち込むと縦の意識、払うと横の意識が強まりますが、構えた状態のままの“斜め”をキープして振ると、自然に浅い入射角で横からソールを滑らせるようにインパクトができると思います」
フェアウェイウッドの打ち方を動画でチェック!
動画でフェアウェイウッドの打ち方をチェックしたいという方は以下の動画がオススメだ。まずは、人気レッスンプロ・鈴木真一による打ちこなしの解説動画。
つづいては、YouTubeでも大活躍する人気レッスンプロ・原田修平によるレッスン動画。苦手な人の多いフェアウェイウッドを“得意”に変えるコツは必見だ。
フェアウェイウッドの練習法
打ち方編の最後に、オススメの練習法も教えてもらおう。
「ティアップして練習するのがいいですね。フェアウェイウッドをティアップして練習すると、上から入りすぎていないか、下からあおっていないかがすぐにわかりますから。まずは低いティアップから初めてみましょう」
これは、もちろん実際にコースでティアップしてフェアウェイウッドを打つ場面、たとえば距離の長いパー3や狭いパー4のティショットの練習になるだけでなく、これができると芝の上からでもクリーンヒットできるようになるといい。
上から入りすぎたり、下から入りすぎると一定しない。ボールをクリーンに打つイメージで。低いティアップ。徐々に高くしていって、ボールだけをきれいに打てるようになると、芝の上でもクリーンにヒットできるようになる。
ある程度上達したら、ドライバーのように高くティアップした状態で練習するとさらに効果が高い。女子プロなども取り入れる練習法だが、難易度は高いため実際に行う際は周囲の状況にくれぐれも気をつけよう。
フェアウェイウッドと仲良くなろう!
フェアウェイウッドを打ちこなせるようになると、コース攻略の幅は大きく広がる。苦手意識を払拭し、心強い武器にしよう!