練習場でつい好きなクラブばっかり練習しちゃう問題
勉強でもスポーツでも仕事でも同じだと思いますが私たちは苦手なことに取り組むことを後回しにしたり、そもそもやらなかったりするものです。学生時代に数学は得意だけど社会は苦手だった人は数学の宿題は率先して取り組めても、社会の宿題は「やりたくない」という気持ちになり後回しになったり、未提出にしたりという経験もあるのではないでしょうか。ゴルフも同じだと思います。
たとえば、ショットは得意でもアプローチがどうしても苦手と感じている方はアプローチの練習に割く時間も、楽しさややる気も得意なショットに比べると減る傾向にあると思います。あなたはいかがでしょうか?
私たちは苦手分野へのアクションに対してなかなかやる気になりません。なぜなら、得意なプレーの練習であれば「上達した。理想のプレーができた」という報酬が手に入りますが苦手なプレーであればなかなかそれが手に入らないからです。
このことは「ABC分析」という強化学習の仕組みにあてはめるとわかりやすいです。これは行動することで良いことがおきればその行動は強化され、行動することで悪いことが起きればその行動は弱化され繰り返されなくなるということを分かりやすく分析できます。
このABCとはA:先行条件(Antecedent)→B:行動(Behavior)→C:結果(Consequence)の頭文字を合わせたもので「(A)~のときに、(B)~をしたら、(C)~になった」ということを表します。
たとえば、
(A)あるコーチにアプローチの練習法を教わり、
(B)その練習法を実践したら、
(C)うまくいかずに余計にアプローチが分からなくなった
とするとそのコーチに助言を求めることもコーチの練習法を行うことも減るはずです。逆に、
(A)別のコーチにアプローチの練習法を教わり、
(B)その練習法を実践したら、
(C)今までにない良い感覚のアプローチができた
とすると当然、そのコーチの指導を継続して受け、教わった練習方法はその後も繰り返しやすくなるはずです。
このABC分析に自分が苦手な、たとえばアプローチをあてはめてみます。なぜ、特定のプレーに対する練習が弱化されたのでしょうか?
イメージしやすいパターンがこうです。「
(A)楽しみにしているコンペ前の1カ月前から課題のアプローチを重点的に練習ようと思い、
(B)今までにないくらいアプローチ練習をした。
(C)しかし、結果はアプローチの精度が今までより悪くスコアも散々だった
このような出来事があると無意識に「アプローチは練習しても意味がない」とラベルを貼ってしまいます。そうすると自然とアプローチ練習への行動量は弱化されてしまうわけですね。
では、どうすればこのようにマイナスイメージや苦手意識が特定のプレー、ここではアプローチへの行動弱化を改善できるのでしょうか? 答えはシンプルで、(C)の部分で自分を褒めることです。(A)気は進まないけどアプローチ練習をしようと思った
(B)短い時間だが練習をした
(C)いつも通りの球筋だったけどやらないより良いと感じた
この(C)部分を「気が進まないなかで行動できたことはプラスだ」「やったことで今後のきっかけがつかめるかもしれない」「やろうと決めたことをやったことは自信になる」と自分で褒めていくのです。
私たちの脳はほめられるとドーパミン神経が働き、その結果脳が活性化しやる気が出てきます。もちろん、他者から褒められることも効果的なのですがその回数は自分ではコントロールできませんので自分でうまく自分を認めていく仕掛けは行動強化においてかなり重要です。
行動した結果に対しての気づきや小さな変化、成長を気づき褒めていくことが苦手意識を減らしていく第一歩になると思います。まずは取り組んだ行動に対して小さく褒めることからスタートすることがおすすめです。