フェースアングルに注目してみよう
弾道計測機器の進化・普及によって、ゴルフの練習のあり方は大幅に変化した。ツアーシーンを見れば、プロゴルファーが練習場にトラックマンを持ち込みデータをチェックしつつ練習している、なんて姿はもはや当たり前の光景。アマチュアにとっても、弾道計測器が導入されているインドア練習場などで自身のスウィングデータを見る機会は多くあることだろう。
モデルによって計測できるデータに若干の差はあるものの、ヘッドスピード、ボール初速、キャリー、トータル飛距離、打ち出し角度、スピン量、ミート率など「弾道に関するデータ」はもちろん、インパクト前後のクラブ軌道やダイナミックロフト(インパクトの瞬間のリアルロフト)やアタックアングル(入射角)などの「インパクト前後でのクラブの挙動」まで明らかにできる。
しかし肝心なのは得られたデータをどう使うか、という点だ。USLPGAティーチング会員の資格を持つ人気美女プロ・小澤美奈瀬の場合は、ショット練習の際に「まず、フェースアングルに注目して見ています」という。
「フェースアングルとは、インパクト時のフェースの向きを表したものです。ボールの打ち出し方向を決める要素の、だいたい85~90%前後をインパクト時のフェースの向きが占めていますから、非常に重要なデータと言えますね」(小澤、以下同)
今回は7番アイアンを用いて小澤のスウィングをトラックマンで計測してみると、フェースアングルは「-1.7°L」(写真A)。つまり、ターゲットに対して1.7度左を向いてインパクトしているということだ。
「ストレートな弾道を打つためには、フェースアングルの角度を0に近づけることが大事になってきます。私も0になるべく近づけるように調整していますね」
もちろん完璧に0を目指す必要はない。「フェースアングルが左右1度のブレ幅に収まっていれば十分素晴らしい数値です」と小澤。さらにフェースアングルに加えて「クラブパスの数値にも注目してほしいです」と続ける。
「クラブパスとは、インパクト前後のクラブ軌道を表したものです。写真Bの7番アイアンショットの計測データを見てみると、クラブパスは-3.6°L、つまりターゲット方向に対して3.6度傾いているアウトサイドイン軌道ということですね。反対に右側へ傾いている場合はインサイドアウト軌道でインパクトしているということです」
ボールの曲がり方はフェースアングルとクラブパスの関係によって変化するが、「まずはクラブパスに関してもなるべく0に近づけることで『まっすぐ飛ばす基準』を作っておくと、曲げて攻める場合も調整しやすくなりますよ」と小澤。
練習場などで弾道計測器を使用する際は、ついつい飛距離やヘッドスピードに注目しがち。一歩進んでも、スピン量、打ち出し角といったところだろう。それらスウィングの“結果”だけでなく、その弾道が生まれた“原因”であるフェースアングルとクラブパスにもぜひ注目してみてほしい。
協力/LETSGOLF銀座