編集部:これから何回かに分けて、さまざまなテーマで話してもらおうと思います。まず1回目のテーマは男女も時代も関係なく「好きなスウィングBEST3」です。
目澤秀憲(以下目澤):時代関係なくか、悩むな~。
黒宮幹仁(以下黒宮):女子でもいいんですよね。アニカ・ソレンスタムもいいし……うん、決めました。
編集部:では黒宮コーチから選んだ選手と理由を教えてください。
黒宮:僕はイマドキの感じです。1位がキャメロン・チャンプ、2位がブルックス・ケプカ、3位がトミー・フリートウッドですね。
目澤:うんうん、イマドキな男子プロだね。
黒宮:3選手とも今の新しいクラブを使いこなしていて、効率が凄くいいというのが理由です。
編集部:とくにどういったところがいいのでしょうか。
黒宮:ケプカを見てもらえればわかるように、トップの左手首が掌屈した(手の平側に曲がった)状態で(フェースを開かずに)体を沢山使ってスウィングしていますよね。フリートウッドもチャンプもそうなんですけど、結果としてインパクトの効率がいいんです。
目澤:僕は1位がトミー・フリートウッド、2位がタイガー・ウッズ、3位が伊澤利光さんですね。
編集部:お二人ともトミー・フリートウッドの名前が挙がってますね。
目澤:トミー・フリートウッドの魅力ってどのライからも打てる、適応能力というんですかね。黒宮が解説してくれたみたいに体の使い方が凄い上手なんですけど、それ以外にも球を操ることにも凄く長けている。しかも現代のクラブを使いこなしている。僕たちが習ってきたゴルフ論じゃないところを彼はいってるのかなって感じがしますね。そこも好きな理由ですね。
編集部:曲げずに飛ばす効率の良さと、球を操る技術を兼ね備えているということですね。黒宮コーチはトミー・フリートウッドでいうとどんな魅力が挙げられますか?
黒宮:僕も一緒ですね。練習場で見ていても無駄な練習はしていないと思います。彼の練習を見ると、ウェッジからドライバーまで一貫性があるんです。アドレスのアライメントが変わるだけで、あとは根本的には大きく変えていない。僕が選んだ3人のなかでは一番オーソドックスに近いスウィングをしています。
目澤:アマチュアの方も参考になるよね?
黒宮:参考になると思います。
編集部:どういったところが?
黒宮:動画等でチェックすると、フルショットではなくスリークウォーターで振っているケースが多いんですよ。あれだけの一流選手でも短く持って、スウィング幅も決めて打つ。ああいうところはアマチュアも真似できるといいと思います。
目澤:本人も「フルショットするのはゴルフ場でほとんどない」って言っていましたね。それは中々凄いことだなと思うし、あと練習が好きだよね?
黒宮:うん、そうですね。それこそいろんな器具とかを使って練習していますよね。
目澤:もちろん弾道測定器もそうだし、さまざまにゴルフを研究しているんだなと思いますね。練習している姿が楽しそうなんですよ。
編集部:なるほど。2位にタイガー、3位に伊澤さんとなってますが――。
黒宮:3位に伊澤さん入れるのズルいっす(笑)いいスウィングですよね。
目澤:僕がゴルフを始めて見に行った試合がブリヂストンオープンだったんですけど、2002年に丸山(茂樹)さんと伊澤さんが組んでワールドカップを優勝してその全盛期のときに、伊澤さんってどんなゴルフするんだろう?どんなショット打つんだろう?って、見に行った時のスウィングが印象的なスウィングだったんです。
編集部:どういったところが印象的?
目澤:フリートウッドは僕と同じくらいの体型(178センチ、78キロ)なんですけど、伊澤さんはもう少し小柄(169センチ、70キロ)。今でも体のサイズがないとメジャーで勝てないっていわれてますが、当時の伊澤さんのスウィングの迫力とか、球筋とか、振り抜き感というのは今まで見てきた人のなかで一番かもしれないです。
黒宮:マスターズで4位に入ったときは練習場にPGAツアーの選手がスウィングを見に来たらしいですよね。そんなの考えられないじゃないですか。PGAツアー選手が日本から来た選手を研究するなんて。
目澤:だから僕の中でベストスウィンガーって誰?と問われたら「伊澤利光」さんは出てくるんです。
(つづく)