体の強さを感じさせるインパクト
工藤遥加選手は青木瀬令奈選手、福田真美選手らと同じ2011年にプロテストに合格。2014年にはQT(予選会)ランク15位の資格でレギュラーツアーに33試合参戦するも、賞金ランク53位で惜しくもシード獲得はなりませんでした。
その後2015年34試合、2017年28試合と参戦するもシード獲得には届かずしばらく低迷していましたが、2019年は7月の「サマンサタバサガールズコレクション・レディース」で最終日最終組でプレーして13位、9月の「ゴルフ5レディス」でも13位に入り着実に復調してきていました。
2019年9月末の「ミヤギテレビ杯ダンロップレディスオープン」の練習場で彼女の練習をじっくり見る機会に恵まれましたが、強烈なアゲンストの吹く練習場で、風をねじ伏せるような高低を打ち分けるパワーボールに体の強さを感じたのが印象的です。
昨年末のQT(予選会)では、プラチナ世代やシード落ちしたばかりの選手がひしめくなか24位に食い込み、今季前半戦の出場権を見事に獲得。ドライバーの飛距離260ヤードを越える豪打は、ドライビングディスタンスの上位に割って入ることでしょう。
スウィングを見てみると、ピンを狙うアイアンショットはトミー・フリートウッドのような抑えの利いたコントロールショットが得意であることがわかります。インパクトの力強さ(画像A左)、ボールを運ぶようなフォローでのフェースの向き(画像A右)を見てください。
画像A左では、バックスウィングで背中側にあったクラブを左サイドへの加重、腰の回転、左ひざを伸ばすという三つの力をバランスよく使うことで加速させて打っている様子が見て取れます。
画像A右では手をこねることなくフェースの向きをキープしてボールを押し運ぶように狙っていますが、フェースの開閉をおさえて飛距離と方向性を合わせるには下半身や腹筋、背筋と体の中心部の力が整っていてバランスよく振ることが必須条件です。このことからもしっかりとトレーニングを積み重ねていることが感じ取れます。
今季から植村啓太コーチとタッグを組み開幕を待っている状況のようですが、ショット・アプローチ・パットと課題を一つずつクリアし仕上がってきていたそうです。調子を維持できれば開幕から当たり前のように上位に位置する工藤遥加選手が見られるのではないでしょうか。強豪ひしめく92年生まれのプレーヤーがまた一人ツアーに加わって、さらに盛り上げてくれそうです。