グローバルに展開されるゴルフクラブのなかには、日本では販売されない“海外仕様モデル”が存在するケースもある。それらにはどんな特徴があるのか? なぜ日本では販売されないのか? もし手に取る場合の注意点は? ゴルフトレンドウォッチャー・コヤマカズヒロが指南!

“並行輸入品”を買う際には注意が必要

3月20日にミズノの世界戦略モデル、「ST200X」と「ST200」の2機種のドライバーが発売される。世界戦略というだけあって、昨今のツアーのトレンドを思わせるシャローバックなヘッドで、低スピンに振っているのが特徴だ。

よりハードなモデルという位置づけの「ST200」は、市場のドライバーの中でもかなりスピン量が少ないモデルだ。スピン過多で飛距離をロスしがちなパワーヒッターが、よりボールを前に向かって飛ばせるヘッドと言えるだろう。

画像: ミズノ「ST200ドライバー」。国内ではST200とST200Xの2モデル展開だが、海外にはST200Gというモデルもラインナップされている

ミズノ「ST200ドライバー」。国内ではST200とST200Xの2モデル展開だが、海外にはST200Gというモデルもラインナップされている

ところで、海外モデルには国内未発売の「ST200G」という、三番目のヘッドがラインナップされている。他の2モデルと異なり、ソールの上下にスライドウェイトが装着されている。ちなみに、このスライドウェイトの元祖は、(※筆者の知る限り)同社の「MP600 ファーストトラック」だ。テーラーメイドが“カチャカチャ”の弾道調整機能を出すよりも2年も早かった。

筆者も現物を見たことはないが、この「ST200G」は、「ST」シリーズの中でももっとも低スピン性能が高いヘッドという位置づけだ。「ST200」よりもハード仕様となると、ボールを上げることが出来るのは、ヘッドスピードが50m/sを有に超えるような超ハードヒッターに限られるのではないだろうか。海外販売限定になるのもうなずける話だ。

実は、グローバル展開するメーカーであっても、こんな風に海外のみ、あるいは日本のみで販売するクラブは少なくない。コブラの最新作、『スピードゾーン』には、今のところ海外のみで「ツアーレングス」というバージョンを展開している。これは、通常45.5インチのところ、44.25インチと短く、その分ヘッド重量をウェイトによって増やしている仕様だ。看板プロのリッキー・ファウラーがドライバーを短尺仕様にしていることを知っているファンなら、俄然興味のわくスペックだろう。

画像: コブラプーマ「KING スピードゾーン」シリーズでは、短尺ドライバーを愛用する看板プロ、リッキー・ファウラーを彷彿とさせる「ツアーレングスバージョン」を海外では展開している

コブラプーマ「KING スピードゾーン」シリーズでは、短尺ドライバーを愛用する看板プロ、リッキー・ファウラーを彷彿とさせる「ツアーレングスバージョン」を海外では展開している

テーラーメイドでは、以前から「タイプD」などという名称で、よりつかまりの良いドローバイアスのヘッドを販売している。今年も例外ではなく、アメリカでは「SIM MAX-D」という日本未発売のヘッドがラインナップにある。

画像: テーラーメイド「SIM MAXドライバー」。米国では「SIM MAX-D」という日本未発売モデルが存在する

テーラーメイド「SIM MAXドライバー」。米国では「SIM MAX-D」という日本未発売モデルが存在する

日本国内でもこのヘッドがハマる人は少なくないはずだが、ラインナップにないのは「ドロー」などと名前がつくと、フックが出やすい初心者向けと敬遠されるからかもしれない。実際に、過去には「R7ドロー」、「バーナードロー」といった製品があったが、ゴルファーの支持はもうひとつだった印象がある。

90年代のキャロウェイは、代理店であるダンロップが販売する日本仕様と、海外仕様をそのまま販売する並行輸入品が、市場に混在していた。今でもそうだが並行輸入品のほうが総じて安価でゴルファーに人気があった。輸入業者も多く、ディスカウントストアや専門店などに多数の並行輸入品があった時代だ。

そうした並行輸入品は現在もあり、前出のような海外モデルでしか手に入らないクラブを買うには便利だ。一方、かつてと異なり、手軽に手を出しにくい要素もでてきた。それがシャフト硬さの問題だ。

よく知られているように、海外モデルに比べると日本仕様は、国内のゴルファーの体力に合わせて(という名目で)、シャフトは軽く、軟らかくなっているのが普通だ。それだけでもそれなりに差があったのだが、この10年で日本のクラブは随分シャフトが軽くなっている。10年前のRフレックスが、現在のSフレックスより硬いといった逆転現象が起きているモデルもある。

さらに、海外モデルはその逆で、ここ数年でかなりシャフトが硬くなっている。Sフレックスなら、日本のXフレックスよりもずっと硬いモデルが数多くある。つまり、日本では軟らかく、海外仕様は硬くなっているので、同じフレックスでも大きな硬さの差が生じているのだ。

このところ円高に振れそうな気配もあり、海外モデルが金額的にも魅力的に見えることも増えそうだ。しかし購入する際は、シャフトの硬さ、重量に特に注意したいところだ。

This article is a sponsored article by
''.