ヨネックスと言えば、世界的なラケットメーカー。バトミントンは圧倒的なシェアを誇り、テニスも多くの愛用者がいる。またスノーボードでもコアなファンが多いので有名だ。
同社の商品が高い人気を誇るのは単に性能が高いからに他ならない。これらの高性能なモデルを形にしているのが同社の誇るカーボンを取り扱う技術だ。そんな高い技術を持つヨネックスが発売したゴルフクラブ「EZONE GT」シリーズは一体どんなクラブでどんなゴルファーに向けたモデルなのか。クラブフィッターの小倉氏に試打と解説をお願いした。
「ヨネックスのクラブは、自社で持つ高いカーボンの技術を存分に生かしたモデルが多いですね。その他の技術もオリジナリティ溢れるものが多く採用されています。今ではもはや当たり前になったカーボンを用いたヘッドですが、これはかなり早い段階でヨネックスが採用していました」(小倉氏、以下同)
2020年の最新モデルEZONE GTドライバーも、もちろん得意分野であるカーボン技術を生かしたヘッドだ。
「具体的なテクノロジーとしてはカーボンクラウンの内側やフェース、ソールに溝を設けることでインパクト時のヘッドの撓みをコントロールし、フェースの反発エリアを高めています」
また特徴的なのがフェース研磨の向きだ。
「横向きに行うことが多い研磨を縦に行うことで、インパクト時にボールが左右にブレにくくなり、サイドスピンを減らすといったアイデアなども盛り込まれています」
EZONE GTシリーズのドライバーは435と455の2モデルがラインナップされている。これらの違いはどこにあるのだろうか。
「このモデル名を表す数値はそのまま体積になっていて、それぞれ455㎤、435㎤となっています。体積以外のクラブのスペックではシャフトの長さや重量はほぼ同じで、パワーや腕前でモデルを作り分けているのではないですね。体積が小さい方が、重心距離が短くなりやすいので、操作性に違いが生まれます」
体積以外の相違点としては、ライ角の違いが挙げられる。
「ライ角が435の方がフラットになっていますので、435が操作性を求め、しっかりと振っていくゴルファー向け、455の方が直進性を求め、安定した弾道を求めるゴルファー向けといった感じでの違いになると思います」
では実際に小倉氏が試打した感想を聞いてみよう。
「どちらのモデルにも共通するのは、今どきのクラブらしく多少芯を外してもスピンが増えすぎることのない、安定した低スピンの強い弾道が量産できることです。それと特筆すべき点は純正でついているシャフト『NST002』。とてもシャキッとした振り味でミートしやすい! 癖もないので誰でも扱いやすいと感じると思います」
ヘッド別に見れば、「まず435は小ぶりなだけあって操作性が良いですね」と小倉氏。
「最近はアスリートに向けたモデルでもサイズが大きく、直進性を高めたモデルが多いですから、目標方向に対して右に打ち出してからドローとか左に打ち出してからフェードといった操作ができるクラブはかなり少なくなりました。右を向いて左に曲げるといったことはどんなクラブでもできますが、目標に構えつつ、ボールをコントロールするというのはある程度小ぶりで操作性の良いヘッドでないとできませんからね。つかまり具合はニュートラルですが、決して小さいからと言って難しいといった特性のモデルではないですね。大型ヘッドが上手く打てない方は、腕前関係なく一度試してみる価値のあるモデルだと思います」
「455は435と比べるとヘッドサイズが大きいだけあって、操作性がやや低下しますが、その分直進性が高まった印象。ただつかまり具合はどちらも同じぐらいなので、打ち比べてみるとやや455の方がつかまらない印象がありますね。ただ弾道の直進性は明らかに455の方が高いです。打ってみて改めて455の方がやさしい、435の方がアスリート向けといった作りわけではなく、純粋に特性で作り分けられている印象を受けました」
最後に、どういったゴルファーにEZONE GTシリーズがオススメか聞いてみた。
「クラブとしては、形状と性能がかけ離れていないとても素直に仕上がっている印象です。こういったモデルは、どんなゴルファーでもミートのしやすさは実感できると思います。ただ決してつかまりが良いといったお助け機能はそれほど持っていませんので、優しさを求める方というよりは、上達志向の強い初中級者や、ゴルフ歴の長いアスリートシニアなどに良いと思いますね」
協力/ユニオンゴルフクラブ