身近にあるアイテムでテーマ別に練習しよう
パター練習というと、パターマットを想像する人が多いはず。ただ、強めのタッチでガコンガコンと入れるだけでは上達につながる練習とはいえない。「そこで、身近なものを使って練習効率を高めましょう」と中村は言う。
用意したのは、画像の奥から定規、つまようじ(折ってフェースに貼る)、単4型電池、500円玉、アドレスの向きを確認するアライメントスティックの5つのアイテム(スティックを持っていなければドライバーでも代用できる)。それぞれどう使うのか、ひとつずつ解説してもらおう。
ストロークが安定しない人には「スティック」を使った練習法
まずはスティックを使ったパット練習法。実はこれ、鈴木愛がやっている練習法なのだ。
「昨シーズン、鈴木愛選手は、スティックを両わきで挟み、テークバックをとらずに打つ練習をしていました。手先を使わずに体幹を使ってボールを押し込むようにストロークするとのことですが、やってみるといろんな気づきがあると思います。体のどの部位を使ってストロークしているのか体感できるはず。ストロークが安定しない人にはまず最初にやってほしい練習法です」(中村)
振り幅が一定しない人には「定規」
続いては定規をパターヘッドと自分の間に置きボールを打つ練習。ストロークの幅が一目瞭然になりそうだ。
「定規の長さの真ん中にボールを置いてストロークするとテークバックとフォローの割合が確認できます。鈴木愛選手のようにフォローが長いタイプか、タイガーのようにフォローが短いタイプかなど自分のストロークのタイプもわかります。ターゲットまでの距離を変えて、振り幅がどう変わるのかを見ても面白いです」(中村)
打点が安定しない人には「つまようじ」
続いてはつまようじを折ってフェースに約17ミリ程度の幅を空けて貼り付ける練習法。昨年の「三井住友VISA太平洋マスターズ」でアマチュア優勝を果たした金谷拓実選手がやっていた練習法だ。
「2017年の日本オープンで金谷選手が2位になったときに取材してから、私自身もやるようになった練習法です。芯を外すとつまようじに当たって思った方向に転がらないのでシンプルですが打点の安定しない人にはおススメします。芯で打つ感覚が磨かれ、距離感や転がりの安定につながります」(中村)
転がりが悪い人には「乾電池」
入射角を揃えて転がりを安定させる練習法としては、ボールの後ろに単4型の乾電池を置いて打つ練習法がいいという。これは日本獣医生命科学大学 運動科学教室の濱部浩一による「ピン型やマレット型のパターは地面から12から14ミリ浮かせて打つことでフェース面上の重心とボールの重心が同じ高さに揃い、転がりがよくなる」という研究結果に基づくドリルだ。
「濱部先生に取材したときに教わった練習法です。パットのストロークでもダウンブロー、レベル、アッパー軌道とありますが、この練習はレベルからアッパー軌道で打ちやすくなります。特に重心の低いパターにはマッチするでしょう。転がりもよくなるので入射角がバラつくひとには試す価値があります」(中村)
集中力を養うには「500円玉」
パットに不可欠な集中力を磨くには、ボールは打たずにフェースの下部で500円玉のわずかな厚みを打ち抜く練習法にトライしたい。
「葭葉ルミプロが10円玉を2枚重ねて上の一枚だけを打つ練習をしていました。聞くと10円玉一枚分のアッパー軌道で打つドリルだと教えてくれました。さすがに10円玉1枚を打ち抜くのはシビアすぎるので500円玉でやってみたところ、それでもなかなか難しいんです。でもヘッドまで神経を通わせるように集中してやってみると打ち抜く感覚が研ぎ澄まされてきます。ピン型など重心の高いパターと相性がよさそうな練習です」(中村)
転がりが悪い人は「ボールに線」
最後にもうひとつおまけで、ボールに一周ぐるっと線を引きターゲットに打ち出すシンプルな練習を紹介しよう。
「線を引くことで、ボールがどんな回転をしているのか一目瞭然になります。実際のラウンドでは線を引くと向きが合っているのか不安になったり、時間がかかるからと敬遠する人もいると思いますが部屋での練習ではぜひ取り入れていただきたいですね。安定した回転で転がるほうがカップインする確率は高くなります。スーッと転がるボールをイメージするとライン読みのイメージも膨らみますし、パンチが入らずに距離感もよくなります」(中村)
もちろん理想は線がブレずに真っすぐ転がること。五百円玉練習同様、集中力も磨かれそうだ。
6つの練習法を紹介したが、どんな練習でもやってみると次のラウンドが楽しみになるし効果もゼロということはないはず。ただ漫然とボールを打つより確実に効果が期待できるこれらのドリル、ぜひ自分に合いそうなものからお試しあれ!