プロ野球セ・パ両リーグでチームドクターとして活躍した吉松俊一氏は「幼少期からの運動が脳の活性化につながる」という。吉松俊一氏とその息子・吉松俊紀氏の共著「頭がよくなる運動教室 オリンピック子育て論」から、頭のいい子どもを育てるヒントをご紹介。

スポーツが育む4つの力

スポーツが、子どもたちの成長にどのような影響を与えるかを考えてみましょう。具体的にスポーツは、次の4つの力を育むと私は考えています。

【1】行動を起こす力……筋力と瞬発力(筋肉、神経)をつけること。
【2】行動を持続する力……全身持久力と筋持久力(筋肉、循環器)をつけること。
【3】行動を正確に行う力……敏捷性、平衡性、巧緻性を増し、調整力をつけること。
【4】行動をスムーズに行う力……体の柔軟性(筋肉、関節)をつけること。

画像: スポーツが子どもの成長に与える影響とは?(写真はイメージ 撮影/増田保雄)

スポーツが子どもの成長に与える影響とは?(写真はイメージ 撮影/増田保雄)

スポーツは、この4つの力をバランスよく育んでくれます。

中学生くらいまでは、筋肉よりも大脳と直結した神経系統が発達する時期です。

神経系統とは、脳から脊椎を走る脊髄と、さらにそこから枝のように分かれて体の各器官へとつながる末梢神経があります。とくにプレゴールデンエイジと呼ばれる4~7歳くらいまでは、この神経系統が発達する時期であり、競技としてのスポーツでなくていいので、親が一緒に遊んであげたり、戸外で遊んだりする習慣をつけさせてあげることも、親としてのとても重要な仕事ではないでしょうか。

とくにこの時期に体を動かすことは、【3】の敏捷性、平衡性、巧緻性が見につきます。これらは単に動作が素早い、バランスがいい、器用といった体の動きだけをいうのではありません。運動による刺激は大脳も鍛えますから、素早い的確な判断力(敏捷性)、常識(平衡性)、柔軟な発想や創意工夫(巧緻性)といった人間としての総合力が高まるのです。いわば人間としての基礎が、この時期につくられるといっても過言ではないでしょう。

子どもは体を動かしながら、とても頭を使っています。机に向かって本を読んだり、スマホでテレビゲームをしたりするよりも、むしろたくさん頭を使っている、と考えていいでしょう。自転車や一輪車、あるいはけん玉やお手玉であれ、「どうやったら上手にできるか」を考え、できなかったら悔しいという感情が芽生え、さらにその悔しさで「次は絶対に成功してやろう」というチャレンジ精神も育まれるでしょう。大人数でやる遊びのなかでは競争心だけでなく、社会生活を送る基本である協調性も身につくに違いありません。

「頭がよくなる運動教室 オリンピック子育て論」(ゴルフダイジェスト社)より

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