「行動承認」「成長承認」を親はすべき
たくさんの親御さんやスポーツ指導者と関わってきて、どうしても日本のスポーツ界では結果がすべてで結果がでないとその選手が認められることが少ない傾向にあるように感じます。どれだけプロセスがよくても結果がでないとプロセスまでも否定されてしまう。たしかにスポーツでは最終的に記録に残るのは結果や数字なのでそれも仕方がありません。
しかし、メンタル面のことに関して言えば、スタンフォード大学の心理学教授キャロル・ドゥエック氏も「結果を出し続けるアスリートは自分のベストを尽くし学び向上することを成功ととらえていた」と言っているように、私たち大人がすべきコーチングはこどもが結果を出すまでのプロセスにこだわり、自分から努力できるようなマインドづくりだと思います。
では、どうすればこどもが「自分のベストプレーを目指す」「自分のできるプレーをやりきる」「努力を楽しめる」といったマインドになってくれるのでしょうか? これが今回の記事の本題になります。
結論はシンプルでこどもに対して結果よりプロセスを承認していくことです。「子は親の鏡」とよく言いますが親の考え方、言葉の使い方はこどもの心に乾いたスポンジに水が吸収されるように吸収されます。つまり、親が結果ばかりにこだわり、こどもに「一番大事なのか結果だからな」「結果がでないと過程も意味がない」などと言い続ければそれがこどもの考え方になってしまう可能性が大いにあるのですね。
結果にこだわる気持ちはすごく分かりますがそうではなく、結果よりプロセスを承認していくとしたら、たとえば、ジュニアの試合で優勝やベストスコアなどの結果が出たときに親御さんやコーチが「優勝できてすごいな! おめでとう! 次も優勝しような!」と結果を認めるのではなく、「いつも練習で頑張っていたショットも安定していたし、特訓したアプローチも練習の成果が出ていたね。また、最後まで集中してひとつひとつのプレーをやりきったから優勝できたんだと思うよ!」と結果を出すまでの道のり、プロセスでの行動した事実を認め(行動承認)や成長したポイントを認め、褒めること(成長承認)です。
このような承認を続けていくとこどもは「自分は努力できる人」「練習が成長につながるんだ」「成長すると結果にもつながる」「あきらめずに頑張れることが大事なんだ」「頑張ることって面白い」というしなやかなマインドになっていきます。
結果を褒めることが悪いと言いたいわけではありません。結果も認めてほしいのですがそれよりプロセスを優先して承認することが大事です。きっと私たち大人はこどもに対し見える結果を承認するほうが簡単でプロセスを承認するほうが頭も時間も使うので難しいです。しかし、プロセスを承認してあげたほうがこどもが主体的に動く手助けとして近道です。
そして、認める際は上記にも出しましたが「行動承認」と「成長承認」を意識すると良いです。行動承認とは「行動した事実を認めること」です。
今日も300球打ったんだな。今日も暑かったけど練習いったんだな。今日も最後まで丁寧にプレーしていたように見えたよ。というようにこどもが行動した事実を伝えてあげるだけでこどもは自分の行動に対してプラスの意味づけをしていきます。そして、次に成長承認をしていきましょう。これは技術面や精神面で成長しているポイントを認めることです。「球筋が良くなったな」「飛距離が伸びたらしいな」「マネジメントもだいぶ自分で考えられるようになったな」「ミスをしても前向きに頑張れるようになったな」と成長している点を伝えてあげるのです。
こどもを努力型のマインドに導くために2つの承認を声掛けに加えてみてはいかがでしょうか。