渋野日向子のコーチであり、2020年のレッスン・オブ・ザ・イヤーを受賞した青木翔。たしかな指導力と、スウィングに対する知識を持つ彼に、男子プロの「スウィング5選」を選出してもらった! 青木が選んだのは誰だ!?
1位タイガー、2位はマキロイ……
「タイガーの1位は揺るぎないです」
男子ゴルファーのベストスウィンガー5選を問うたところ、青木翔が迷わず名前を挙げたのは、やはりタイガー・ウッズだった。
「僕ら世代(青木は1983年生まれ)のアイドルということもありますが、タイガーがすごいのは、たとえばアプローチでオートマチックに打つこともあれば、手首を使うこともある。いわば、理性と野性が合わさっているとことです。あれだけ飛んで、ショートゲームが抜群に上手いのがすごいです」
ショットのスウィングとアプローチのスウィングはつながっているがゆえに「手元の操作でアプローチする人ほど、ドライバーが曲がる印象が強い」と青木は言う。正確無比なドライバーと、幾度となく奇跡を演出してきたアプローチ。タイガーにはその両方があり、その上でボールをコントロールする技術も誰よりもある。「だから、勝てないですよ(笑)」と青木。“完璧”ということだろう。
タイガーに次いで名前が挙がったのが、ロリー・マキロイだ。
「タイガーもそうなんですが、スピード感とキレのなかにやわらかさがありますよね。これもタイガーとの共通点ですが、アドレスで球筋をコントロールしている。そのあたりに、現代スウィングっていう印象を受けます」
手元の操作ではなく、アドレスの向きなどセットアップで球筋をコントロールし、基本的にスウィングはオートマチック。青木の言葉を借りれば、タイガーから野性の部分を引いて、理性の部分を強調したのがマキロイのスウィングと言えるかもしれない。
そして、理性、すなわちオートマチックに特化しているのがジェイソン・デイ。
「とくにショートゲームがスーパーオートマチックですよね。ドライバーでも手元の操作がなく、曲がりが少ない。今の時代の子たちが“最初に見る”スウィングとしては1番のお手本ではないでしょうか。ちょっと硬さはありますけどね」
ちなみに、その逆サイドの選手としてフィル・ミケルソンの名前を青木は挙げ、「操作の天才」と評した。ミケルソンは真似のできる選手ではないが、卓越した選手であるのも間違いない。
そして最後に「異次元」だというのが、PGAツアー屈指の飛ばし屋、キャメロン・チャンプだ。
「あれだけ体をねじって打てるというのは、体の柔軟性や強さを証明していると思います。あのスウィングをやりたいと言われたら『無理です』と言いますけどね(笑)。これから、チャンプはいいきっかけをつかめれば、どんどん上がってくると思います」
“しぶこのコーチ”が評価する5人のトップ選手たち。PGAツアーが再開したら、あらためて注目してみよう!