プロ野球セ・パ両リーグでチームドクターとして活躍した吉松俊一氏は「幼少期からの運動が脳の活性化につながる」という。吉松俊一氏とその息子・吉松俊紀氏の共著「頭がよくなる運動教室 オリンピック子育て論」から、頭のいい子どもを育てるヒントをご紹介。

マット運動は3歳から始められる英才教育

基礎体力作りの第一段階としてやってほしいのがマット運動です。私はこのマット運動を「3歳から始められる英才教育(運動)」と呼んでいます。親が手を貸してあげれば、3~4歳くらいから始められるはずです。

マット運動はまず、運動神経の基本でもある柔軟な体の基礎をつくってくれます。いかに神経系が発達しても、大脳の指示通りに自在に動く、柔軟な体が必要です。歳をとってから柔軟性を身につける苦労は、大人であれば誰もが知っているはずです。苦もなく柔軟性を身につけるには幼少期の運動が重要で、風呂あがりや寝る前に、布団の上で親が一緒に遊んであげるだけで構いません。

画像: 子供にとって遊びやスポーツは脳の発達に大きく関わる。なかでもマット運動がおすすめだという

子供にとって遊びやスポーツは脳の発達に大きく関わる。なかでもマット運動がおすすめだという

また転がったり、回転したりするマット運動は全身運動です。そのため日常生活ではほとんど使わない、首や肩、背中、お尻の筋肉などを動かす効果があります。そうした全身運動は、体のそれぞれの部分を、どのように動かせばどのような結果になるのか、また体のそれぞれの部分がどのような機能を持っているかを、知らないうちに理解していることにもつながります。

マット運動はさらにタイミングをとる感覚を身につけます。

前転でも後転でも体の反動を利用して転がりますから、勢いとタイミングがあえば3~4歳の子どもでも立つことができるでしょう。手を使えば、やがて前転も後転もできるようになるでしょうし、なかには前方宙返りができる子どももいるでしょう。これらは3歳頃から家の布団の上で、でんぐり返しから始めましょう。

チャレンジ精神の基礎もマット運動で身につきます。最初はできなくても、できるまで頑張ろう、1回できたら2回、3回、さらに前転の次は後転、さらに前方宙返り……といったチャレンジ精神を育てるのは、親の仕事でもあります。

すぐに結果を求めず、失敗しても根気強く見守り、できたら褒めるなどして、上手に育ててあげましょう。

逆立ちはフロンティアスピリットを養う

マット運動のひとつ、逆立ちも頭がよくなる運動です。4~5歳になったら逆立ちに挑戦させましょう。

この時期の子どもは体全体の筋肉が発達しておらず、両腕で自分の体を支えることができません。そこで親は子どもの両足首を持って、手助けしてあげましょう。

長くやる必要はありません。子どもが床に両手をついた状態を、4~5秒支えてあげるだけで十分です。それ以上やると筋肉に負担がかかりますし、脳に血液と酸素がいかなくなる可能性もあります。

ただし大事なのは1日最低1回、日課として繰り返すことです。やがて長い時間できるようになるでしょうし、親が手を離しても少しくらいなら自分で立っていられるようになるでしょう。

逆立ちの効果としてまず挙げられるのが、血液の循環がよくなることです。特に下半身の心臓に向かう静脈の血流をよくすることは、心臓をはじめとすろ内臓の働きをよくすることにつながります。

人間はどうしても楽な姿勢をとりがちですが、同じ姿勢をしていると骨格や筋肉が歪んでしまいます。逆立ちはその歪みを矯正、つまり姿勢をただす効果も期待できます。自分の体を思いどおりに動かすためには、姿勢はとても重要なことです。逆立ちは早い時期に、いい姿勢を体に記憶させてくれます。

幼少期の逆立ちの効果は、フロンティアスピリットを芽生えさせることだと私は考えています。最初に逆立ちをやるときは、誰もが恐怖心を抱くものです。小さな子どもであればなおさらでしょう。

逆立ちができるようになったいまにして思えば、失敗して転倒したところで大ケガになるわけではありません。しかし、小さな子どもにとって、その恐怖心はいかばかりでしょうか。

それは勇気かもしれません。しかし、4~5歳の子どもがその恐怖を乗り越える挑戦心は賞賛に値します。まして逆立ちが成功すれば大きな喜びや自信となるでしょうし、人生に不可欠なフロンティアスピリットにつながると私は信じて疑いません。

「頭がよくなる運動教室 オリンピック子育て論」(ゴルフダイジェスト社)より

画像: 小澤美奈瀬が教える!上げる転がす自由自在のアプローチ術 youtu.be

小澤美奈瀬が教える!上げる転がす自由自在のアプローチ術

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