コロナ禍の影響で仕事やゴルフに対してモチベーションが落ちている人も多いはず。そんなときにやる気を出す方法を、プロも指導するメンタルトレーナー池努が教えてくれた。もしかしたら、無意識に使っている人も多いかも!?
今抱えている問題、尊敬する先輩ならどうするだろう?
先週、SNSを通じて学生ゴルファーからいくつかの質問をもらいました。その中でも良い質問だったものを紹介します。
「大事な場面でミスをした後に自分にプラスの言葉を言い聞かせてへこまないようにするのですが、なかなか切り替えることができません。良い方法はありませんか?」
そこで学生ゴルファーへアドバイスしたのが「If思考」と呼ばれるものです。これを使うことで気持ちの切り替え、モチベーションアップなどにつなげることができます。「If思考」を紹介していきます。
気持ちを切り替える際に有効な方法が「自分の目の前に起きている出来事を他者目線で思考する」という視点です。無意識的に使っている方も多いかもしれませんね。この状況を先輩のAさんならどう考えるか? 尊敬するB先生ならどうとらえるか? このように「もしだれだれだったらどう考えるかな?」と他者目線で考える「If思考」は気持ちの切り替えや、やる気を出すことに大いに役に立つのです。
このIf思考はカナダにあるウォータール―大学の研究で効果が実証されています。実験ではまず被験者を次の2グループに分けます。
A:自分の問題を自分で解決策を考える
B:自分の問題が親友に起きたとして解決策を考える
(※問題とは金銭問題、試験への不安、他者とのトラブルにまきこまれるなど)
このように自分目線での解決案と他者からの目線での解決案を出し、その案を第三者に採点してもらったところ、結果は自分の問題が親友に起きたとして考えたBグループの得点がAグループの2倍近く高い点数になったのです。この実験で分かったように人は主観を離れ他人事で問題をみつめることで脳は客観的視点になり、問題を冷静な判断をしやすくなるのです。
そして、今回質問をもらった大学生ゴルファーには次のように伝えしました。
「大事な場面でミスをしたときに尊敬する先輩ゴルファーや目標とするプロゴルファーだったらどう考えるでしょうか?」
そうすると学生ゴルファーは、「そういえば、尊敬するプロの方から“試合中のミスは切り捨てろ”というアドバイスをもらったことがあります。なるほどそれが他者目線になるということですね!」とスッキリしたようでした。
このように先輩のAさんならどう考えるか? 尊敬するB先生ならどうとらえるか?と「もしだれだれだったらどう考えるかな?」と一旦自分の考えではなく他者目線で考えることで冷静な判断や自分では思いつかない物事へのとらえ方も生まれ、感情を切り替えることができるのです。
現在、新型コロナウィルスの影響でゴルファーであれば競技、コンペなどの中止が続き、難しい時期が続いています。しかし、この状況に対するとらえ方は人それぞれです。もしあなたや周りの人がこの状況に対しストレスや未来への不安を大きく感じていたとして、それを軽減させたいのであれば、一度自分の視点を離れ、尊敬する先輩や指導者など他者目線で「If思考」を使い今の状況を客観視してみることをおすすめします。そうすると、次のように感情を変えることができるかもしれません。
自分視点:【出来事】コロナで試合ができない状況→【とらえ方】試す場がないし試合がないと練習もやる気にならない→【感情】ネガティブ
先輩ゴルファーの視点:【出来事】コロナで試合ができない状況→【とらえ方】スキルアップに集中できる期間→【感情】ポジティブ
きっと、今回の記事を読んで「結構、このIf思考は無意識で使っていた」という方も多いのではないでしょうか。このような先の見えない、誰も経験のない状況だからこそ、自分が考える1つの視点だけではなく、他者の視点も考慮しながらメンタルマネジメントしていきたいものです