ポジティブに考えつつ、障害も想定しておく
先日、大学生ゴルファーから次のような質問をもらいました。
「試合の前は最高のゴルフができるイメージをつくってプレーしたほうが良いですか?それとも想定外のミスなどが起こるイメージをつくってプレーしたほうが良いですか?」
これはゴルフを問わず他の競技のアスリートからももらう質問です。あなたはどう考えますか。試合前(ラウンド前、コンペ前、公式戦前)は良いプレーをしている自分のイメージをつくったほうがいいのか、また調子が良くない自分のイメージ、アクシデントが起きるイメージもしておいたほうがいいのか。あなたはどちらを好むでしょうか?
前者のように良いイメージをつくっても実際のラウンドでその通りにならなければテンションが下がるし、後者の調子が良くない自分やアクシデントなどネガティブに感じる要素を試合前に想像することはあまりしたくない、そんなゴルファーの声も多く聞きます。
私からサポートする競技ゴルファーに提案する答えは「良いゴルフをするイメージもミスをするイメージも両方しておく」これをおすすめしています。
もう少し詳しく言うと「最終的に良いスコアと内容で試合を終えることができている。試合の入りや途中で想定外のミスが起こることもあるがその障害を我慢して乗り越え、良い流れを自分でつくりだせている」このようなイメージで想定することです。
なぜ、これをおすすめするかと言うとそこには「メンタル・コントラスト」という成功確率を高める理論があるからです。メンタル・コントラストあまり聞きなれない言葉だと思いますがポジティブ思考に関する研究で有名なハンブルグ大学心理学教授ガブリエル・オッティンゲンは目標達成のためにメンタル・コントラストが重要だと提案しています。
メンタル・コントラストとは、心理的対比という意味で理想と現実、ポジティブ思考とネガティブ思考をうまく対比させることで戦略的にメンタルをコントロールすることを指します。簡単に言うと望ましいビジョンや目標を思い描き、その達成を阻む障害への対処も考えることです。確かに理想のイメージをリアルに想像することはとても重要ですが、未来をポジティブに考えるだけでなくそこに「出てくる障害をどのように対処するのか?」というエッセンスを加えるほうsが目標達成の確率を高めるのです。
実際にはプロゴルファーの試合へのイメージ作りで次のようなビジョンをつくります。
「〇〇の試合で私はトータル〈-〇〉のスコアを記録し、〇位以内に入ることができた。常に淡々と目の前のプレーに集中し、自分の持ち味である“攻めるゴルフ”を意識して強気のゴルフを展開することができた。途中、想定外のミスを1、2回することもあるが“過去は変えられない、コントロールできる今に集中”と自分に言い聞かせることでミスから切り替えることができている。ショットでは〇〇のポイント、アプローチでは練習してきた〇〇を8割方はクリアすることができ、グリーン上でもルーティンに沿って一打にリラックスした状態で臨むことができた」。
このように目標を達成するまでに出てくるであろう障害を想定し、その障害への対処を明確にしておくことでゴール達成度は2倍以上に上昇するという研究結果もあります。
本番前の心理的な準備として「想定外も想定内にしておく」これがとても重要です。ミスやアクシデントも想定内。そして、それらが起こったら「10秒間はイライラしてもOK。10秒後に切り替える」というような対処まで準備をしておくこともあなたのゴルフに活かせるかもしれません。
今回の内容はどちらかというと競技ゴルファー向けの内容でしたが少しでもご自身のゴルフに活かしてもらえればと思います。