8歳から30分のジョギングで心肺機能を高める
ランニングは、あらゆるスポーツの基本です。ただ子どもにとってのランニングは足腰を強くするためというより、むしろ心肺機能を高めるために重要な運動だと考えましょう。ランニングは8歳くらいから意識して、定期的に生活に取り入れてほしいと私は考えています。
心肺機能とは、文字通り心臓と肺の機能のことです。心臓は全身に血液と、血液中の栄養を行き渡らせるポンプの役割を果たします。一方の肺は、血液中の二酸化炭素と酸素を交換する役割を果たします。
ちなみに心臓は生まれたときには約30g、成人になっても約200gで、握りこぶし程度の大きさにしかなりません。しかし1日に送り出す血液量は約7200リットルで、容量が1.8リットルの一升瓶がなんと約4000本になる計算です。
心肺機能が高くなると肺活量が増え、体の隅々まで酸素を効率よく取り込めるので疲れにくくなります。また1回の心拍で送る血液量も増え、その分、心臓の負担が軽くなります。また近年、免疫低下の原因でもある低体温症の子どもの増加が報告されていますが、血液循環がよくなることでその予防にもつながるでしょう。つまり心肺機能の向上は、強い体づくりの基本なのです。
もっとも、ランニングが心肺機能を高めるとしても、ひたすら長時間、長い距離を走ればいいというものではありません。特に成長期にある子どもにとって過度なランニングは、足やヒザ、腰などに与える悪影響も考えねばなりません。では、具体的にどれくらい走ればいいのでしょうか。
摂取カロリーと消費カロリーから私が試算したところ、小学生であれば軽く汗をかく程度のランニング(ジョギング)を30分程度やれば十分です。30分は長いと感じる人がいるかもしれませんが、これはまったく遊ばない、スポーツをしない子どもの場合です。休み時間に鬼ごっこやサッカーなど、体育館や校庭を走り回っていれば、そのくらいの時間は十分に走っているはずです。
ただ肥満であったり、疲れやすかったりする子ども、また低血圧な子ども、なにより運動が苦手、運動が嫌いな子どもには、1週間で何キロ、1ヶ月で何時間といったように目標を持たせてランニングするクセをつけてあげたいものです。