大手メーカーが手掛けた“地クラブ”的ドライバー
ゴルフクラブのメーカーには、完成品としてクラブを販売するメーカーとヘッドやシャフトを単体で開発し、工房などでパーツとして販売するメーカーが存在する。
前者は、完成品としてクラブを販売し、幅広いゴルファーを対象としているため、性能はある程度ターゲットゴルファーに合わせて設計されていても、クセのない性能が求められる。また大量に生産する前提で開発されているため、販売数を稼ぐ必要があり、宣伝やプロとの契約等に力を入れてブランドイメージを高めている。
後者はいわゆる地クラブメーカー、パーツメーカーなどと呼称され、大手メーカーにはないようなニッチな性能やビジュアルを持ったモデルを開発することで、弾道はもちろん振り心地や所有感まで自分に合わせてカスタマイズするようなこだわりのゴルファーを対象にしている。対象となるゴルファーの層が少ないということもあり、大量生産はせず1個単価は高いがほかにはない性能を持つといった付加価値で勝負している。
こういったそれぞれ考えの違うメーカーによってゴルファーのニーズが満たされているのだが、近年は完成品を作るメーカーも吊るし売りではなく、カスタマイズ性を重視した販売法を取り始めている。
たとえば2015年に発売されたブリヂストンゴルフのJ015は、ドライバーからウェッジまでフィッティング前提で、ブリヂストンスポーツ認定の工房のみで取り扱われていたシリーズ。タイトリストのTS4ドライバーやミズノのミズノプロアイアンも、カスタムオーダーのみで販売されている。
プロギアのTUNEシリーズもそのひとつで、このシリーズは完成品としては販売しておらず、プロギアの直営店や一部の工房などでヘッドとシャフト、グリップをそれぞれ選び、自身でカスタマイズして注文しないと手に入らない。当然完成品として販売しているプロギアのクラブとは一線を画す性能になっているらしい。一体どんなクラブなのか、小倉氏に解説してもらった。
「TUNEシリーズはカスタムモデルだけあり、フェースの反発係数をギリギリまで追い込んで設計しています。これは製造技術が高いだけでなくパーツひとつひとつを細かく管理しているためにできることです。特徴としてはゴルファー一人ひとりにカスタマイズしやすいように設計している点が挙げられますね」(小倉氏、以下同)
プロギアのTUNEドライバー4モデルの特徴は?
TUNEドライバーは4モデルラインナップされていて、それぞれが個性を持ちながらも「よりゴルファーに合うクラブが作りやすい工夫がされているんです」と小倉氏はクラブフィッターの目線から語る。
「共通する部分として、脱着式のウェートが搭載されているんです。これによって装着するシャフトに関わらずバランスを出しやすいですし、ほとんどのモデルはウェートを2つ装着できるので、ウェートの入れ替えによってヘッド特性を変えることができます。さらにネックの内径が少し大きく作られているため、シャフトに角度をつけて接着することでライ角やフェースアングル、ロフト角などを調整できます。こういったモデルはスウィングを見てからクラブを作れる工房などにとってはとてもありがたいんです。よりゴルファーごとに作り分けできるので結果が出しやすいんですよ」
では具体的にTUNEドライバーはどんな性能を持っているのか。TUNE01、02、03、05の4モデルの特徴について、それぞれ小倉氏に解説してもらおう。
「01はストレートフェースでしっかり叩いていけるつかまりを抑えた仕様。脱着可能なウェイトの搭載位置もやや中央よりになっていて、操作性も重視した設計になっています」
「02はややつかまるイメージを持たせたモデルで、ウェートもより外側に寄せた位置に設定されていますね」
「03はさらにつかまる仕様で重心位置を短め深めに設計することで自然とヘッドローテーションが発生しやすいつかまるモデルです」
「05は直進性を高めた仕様。重心位置を深くすることでさらにミスヒットに強い設計ですね」
「どのモデルも打った感触としては弾き感が強く、心地よい金属音と共にライナー性の弾道が打ちやすい仕上がり。モデルによってつかまりや打ち出し角が変わりますが、基本はどれも飛ばしやすい低スピンの弾道が打ちやすいですね。シャフトを自分のタイミングの合うモデルに選んで作れば、自分だけの飛ばせるモデルを作りやすいシリーズだと思います」
大手メーカーがつくるカスタムモデル。一度試してみたくなるクラブだ。
協力/ユニオンゴルフクラブ