多くのドライバーに搭載されている弾道調整機能、いわゆるカチャカチャ。微調整によってスライスやフックなどのミスを防ぎ、理想の弾道に近づけるこの機能だが、「スコアメイクを考えるなら、あえて嫌な曲がりが出やすい方向に調節する手もありますよ」というのは、業界屈指のギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人。詳しく話を聞いてみよう。

「絶対にスライスするクラブ」のほうがスコアメイクしやすい

みなさんこんにちは、ギアオタク店長の小倉です。今日は多くのドライバーに搭載されている弾道調整機能、いわゆるカチャカチャについてお話したいと思います。

モデルによってできる機能や表記は異なりますが、理屈はみな同じです。ヘッドとシャフトに角度をつけて固定できるようにすることで、インパクト時のフェース向きを調節して弾道に変化させるといった仕組みです。

画像: カチャカチャによってロフト角、ライ角、フェースアングルを微調整し、弾道に変化を与えることができる

カチャカチャによってロフト角、ライ角、フェースアングルを微調整し、弾道に変化を与えることができる

変えられる項目は、ロフト角、ライ角、そしてフェースアングル。シャフトの向きだけで調整するモデルは、基本となるポジションから180度のポジション以外は複数の項目が連動して動きます。たとえば、ボールを上げたいなと思ってロフトを増やす方向に調整すると、連動してフェースアングルがクローズの方向に動きます。反対に高さを抑えるためにロフトを減らす方向に調整すると、フェースアングルがオープンの方向に動きます。

変動する細かい数値は各メーカーのホームページなどにも載っていますし、付属するトルクレンチに同梱されている説明書に記載されていますので、改めてチェックしてみてください。シャフトに装着するスリーブに歯車などを使用したモデルはより緻密な調整が可能になっていて、シャフトの向きを変えずに調整ができるなど、独自のメリットを持っているんですよ。

前置きが長くなりました。このカチャカチャ、多くの方は自分のミスを補正する方向に使用していると思います。嫌なミスがスライスならつかまるフックの方向に、嫌なミスがフックならスライスの方向にといった感じ。

自分の理想の弾道を打ちたいと考えているならこれで良いと思います。ですが、コースでスコアをまとめたいと考えたときにこの方向の調整は逆効果になることがあるんです。どういうことかというと、スライス傾向の方がカチャカチャでつかまる方向に調整すると左右どちらにも曲がる弾道が出てしまう可能性が高まるということ。

曲がりを1方向にまとめることができれば、曲がりの幅が多少あってもコース内にボールが残りやすくスコアメイクしやすくなるというコースマネジメントの考え方があります。絶対にスライスするといったクラブは、左方向のミスを考えなくて済むのでコースを幅広く使え、真っすぐ飛ばさなければならないといったショットよりよっぽど安心してスウィングできるわけです。

良いショットが良いスコアに繋がるとは限らないのがゴルフです。コースに行ったらその日に何にこだわるのか? ショットなのか、スコアなのか、はっきりさせてからプレーをしたいところ。その方針に合わせてプレー前にカチャカチャをセットすれば、弾道にそのこだわりを反映させやすくなりますから、よりシンプルにプレーに徹することができますよ。

 

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