ティアップ位置の見つけ方
やす:まず、基本中の基本なんですが、ティアップする場所を決めるときに注意することってありますか?
江澤:そうですね、ティイングエリアって平らだと思っている人が多いと思うんですけれど、結構傾斜があるんですよ。なるべく平らなところを探して、そこにティアップをするようにしてください。
やす:でもどこが平らか分からないんですよ。どうやって平らなところを見つければいいんですか。
江澤:後方に下がって周りの景色と対比して見た目で傾斜を判断したり、立っているときの足裏の感覚で傾斜を感じたりですね。
やす:なるほど。
江澤:あと、ディボット跡付近にティアップするアマチュアの方もいますが、これも絶対ダメです。
やす:あ、僕そうです。刺しやすいのでディボット跡付近とかにティアップしちゃってました。
江澤:構えたときにディボット跡が視界に入ってきてノイズになってしまいますし、万が一ダフったりしてしまうと変な当たりになってしまいますよ。絶対に避けましょう。
スウィングのチェックポイントは1個に絞る
江澤:ティアップをしたら、次は素振りですが、私の場合はボールの後方で素振りをします。この素振りは、そのときにスウィングで課題にしていることとかを意識しながら、ゆっくりと大きなアークで振っていきます。
やす:気にするポイントは何個くらいあっていいものなんですか。
江澤:1個くらいですね。練習場では3つとか課題を多く持ってやってもイイと思うんですけど、でもコースに出たら、何個も課題を頭に入れたら混乱してしまうので、課題は1つ、多くても2つというのがイイかなと思います。
やす:そうか。私なんか3つも4つも気になることがあるんですけど、打つ前に考えちゃうから、それで分からなくなっちゃうんですよね。
江澤:あと、素振りは何回もしないで、ショット前のル―ティンに入ったら2回くらい素振りしたらアドレスに入りましょう。
やす:あ、そうですか。ついつい何回も素振りしたくなっちゃうんですよね。
江澤:何回やっても一緒だと思いますよ。
やす:ガ~ン! 「お前みたいなモンは何回やっても一緒」だと。
江澤:いやいや、そうじゃないんです(笑)! たとえば「ここはフェードを打つぞ」と言う感じで何回も素振りをして体に動きを覚え込ませるような場合はいいんですけれど、単に真っすぐ打とうというのなら100回やっても一緒、それはプロゴルファーだってそうなんですよ。
スパットはボールの前後に設定する
江澤:素振りでイメージを作れたら、次に、打ち出す方向を合わせるんですけど、「スパット」を見つけるって聞いたことありますか。
やす:あります、あります。ボールの少し先にアドレスが取りやすいようわかりやすい目印を設定するんですよね。
江澤:そうです。ボールの後方に立ってクラブのシャフト線上にボールとターゲットを重ねるようにターゲットラインをイメージしたら、そのライン上かつボールの少し先にスパットを設定します。でもより正確にターゲットに対してアドレスするためには、ボールの後方にもスパットを設定すると良いんですよ。
やす:何でですか?
江澤:そうすると、ボールの先のスパット、ボール、ボールの後ろのスパットと3点を結ぶ線ができて、よりターゲットラインが明確になります。それでこの線に対して、肩のライン、腰のライン、スタンスのラインを合わせていくとスクェアに構えやすくなるんですよね。
やす:なるほど。でも先生、このスパットなんですけど、ボールの先に1個だけ設定したときでも、実際にアドレスするときに、どこだったっけなと分からなくなっちゃうんですけど、どうしたらいいんでしょう。
江澤:まずボールの先にあるスパットは、ディボットなど芝と違う色の目立つものを探すといいですよね。そうしたら次に、そのスパットとボールを結ぶ延長線上でボールの少し後ろにヘッドを置きます。
やす:ターゲットラインをイメージするときに前面に構えていたクラブを、そのままターゲットラインに沿って下ろす感じですね。
江澤:はい。そうすると接地したヘッドの位置がそのままボール後方のスパットの目安になって、前後のスパットとボールとがラインで繋げることができます。あとはヘッド位置を保ちつつ、アドレス位置に立ち、ラインに対してスタンスと体のラインを合わせていけばいいんです。
やす:なるほど! これは良いこと教えてもらいました。
短く握ってコンパクトにスウィング
やす:100切りを目指すゴルファーに、スウィング的に即効性のあるワンポイントアドバイスはありませんでしょうか。
江澤:即効性があるとなったら、ドライバーを短く持つことですね。長く持つと振り遅れちゃうので、それで右へすっぽ抜ける球が出ることがアマチュアの人は多いですから。右手の人差し指がグリップとシャフトの境目のあたりにくるくらい短く持ちましょう。
やす:そんなに短く握っていいんですね。
江澤:そのうえでコンパクトに振れば、球があちこちに散らばることは少なくなると思います。
やす:コンパクトに振る、ということは、トップを浅くするということなんですかね。
――と言って、手でクラブをヒョイと上げるやす。それを見た江澤がすかさずダメ出し。
江澤:「スウィングをコンパクトに」と言うと結構勘違いされる方が多いんですが、コンパクトでも、左肩がアドレスの位置から90度くらい、体はグ~ッとしっかり回すんです。そのうえで腕を上げ切らず、手元を肩の高さくらいで止める。これが正しいコンパクトなトップです。
やす:だいたいハーフスウィングくらいの位置をトップにするんですね。
江澤:そうですね。トップの手の位置は低くてもいいから、体はしっかりと回すのが正解です。
やす:じゃあ、100切りを目指す段階なら、クラブを短く持ってハーフスウィングくらいでいいということですかね。
江澤:はい。ただし、腕をしっかり伸ばすことにも気を付けてください。鎖骨から手をグーっと離すイメージです。
やす:お~! なんか違う。
江澤:腕が曲がっていたときよりも、断然カッコ良いトップですよ。クラブを短く持ってトップをコンパクトにすれば、インパクトでしっかり戻ってくるダウンスウィングになるので、振り遅れて右に出るミスを軽減できるはずです。体の捻転がしっかりしていれば、飛距離のロスもそんなにないですしね。
――やすが復習も兼ねて、ティアップから教えてもらったことを実践することに。ボールの後方からフェアウェイセンターのフラッグをターゲットに決めて、「前後のスパットを結ぶライン」に合わせてスクェアに構える。と、ここでやすが何やら違和感を覚えたようだ。
やす:先生。私、このスパットのラインに合わせると、左を向いているように感じますね。
江澤:うーん、私が後方から見ても、しっかり目標に対してラインを合わせてアドレスできているように見えます。ということは、普段は少し右を向いて構えていた、ということですね。
やす:はぁ~、そうだったのか。それでよく球が右に飛んでいたんですね。こういうルーティンって大事なんだって、改めてわかりました。
――納得したやすが、打つと、なんと球は真っすぐに。
やす:ウワ~ッ、右に行かない!
江澤:ナイス! フェアウェイど真ん中ですよ。
やす:だいたい、スタートホールのティショットって右に行くんですよ。でも、江澤先生に教えてもらった通りに丁寧なルーティンをやって打ったら、真っすぐ飛びましたね。
江澤:それだけスタンスの向きって大事なんですよね。
やす:あと「素振りは何回やっても同じ」っていうね、コレを胸に刻みました。プレーファストにも良いですしね。お陰様で100を切るための良いスタートが切れました。引き続きお願いします!
TEXT&PHOTO/古屋雅章 撮影協力/千葉よみうりカントリークラブ