まず教えるのはプレーする楽しさ
コーチとして僕がはじめに生徒に教えることは何か。
グリップ? アドレス?
いえ、最初に技術的なことは教えません。
僕がまず彼らに伝えるのは、ゴルフの楽しさです。
選手の成長は、坂を転がる大きなボールに似ています。一度転がり始めてしまえば、そのスピードはどんどん加速する。

しぶこのコーチ・青木翔は「ゴルフの楽しさ」を始めに教えようという(写真は2019年の日本女子オープン)
時には上り坂になったり、障害物に当たったりして勢いは弱まりますが、基本的にはスピードは速くなっていきます。
でも、転がり始めるまでは大変です。
ボールは、「坂を転がり始めたら面白いな」と思わないと、下り坂までたどり着いてくれません。
だから重くて大きいボールを、下り坂まで運ぶのがコーチの役割。そのために僕はまず、ゴルフの楽しさを教えるのです。
練習では最初、「自由に打ってごらん」と、制約を設けず好きなように打たせます。
どんな球でも「おー飛んだね!目標の近くに寄ったね」と一緒になって喜ぶ。そんなことを繰り返していれば、子どもは楽しくなって、勝手にどんどん打ち始めます。
好きこそ物の上手なれ
その過程で他のクラブを打ったり、脱線してもOK。
そのうち「もっと飛ばしたいんですけど、どうすればいいですか?」なんて聞いてくるようになるでしょう。そしたらその方法を一緒に考えてあげます。
さらにその子が楽しくなれば、「もっといいスコアで回りたい」とか「〇〇君に勝ちたい」と言うようになる。
その時に初めて「もっと上手くなるには、単調で辛いこともあるけど続けられるか」と聞くんです。
いわば覚悟を問うわけですが、それまでさんざん楽しくやっていて、もっと上手くなる方法があると言われれば、ほとんどの子は前のめりでチャレンジをしてきます。
最初から技術的なことは身につきません。まずはゴルフが楽しいものなんだということを知ってもらう。それは勉強でも仕事でも同じです。
コーチは、「これってハマっちゃうほど楽しい事なんだ」というプロデュースをしてみましょう。
楽しいと思ってもらうためには、ゲーム性を取り入れると上手くいきます。彼らは攻略するのが大好きで、負けず嫌いです。
そこをくすぐるような練習を考えられれば、飽きることなく、どんどん次のステップに進んでいくでしょう。
「打ち方は教えない。」(ゴルフダイジェスト社)より
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