ゴルフをしていれば、調子のいいときもあればなにをやっても上手くいかないときもある。両者を分かつのは、もしかしたら“呼吸”かもしれない。プロも指導するメンタルコーチ・池努がプレーを左右する呼吸法を教えてくれた。

ゴルフメンタルの基礎「呼吸」を整える

ゴルファーに必要なメンタルスキルである「呼吸」のコントロールについて解説していきます。

以前の記事で調身・調息・調心という言葉を紹介しました。これは姿勢を正せば(調身)、呼吸も正され(調息)、心も正される(調心)ということを指します。今回はこの調息である呼吸を整えることでのメンタルコントロールについてご紹介していきます。

私たちは、普段無意識で呼吸をしています。1日中すべての呼吸を意識的にしている人は当然いません。しかし、1日の中で呼吸は無意識で浅く(早く)なったり、深く(ゆっくり)なったりしています。

ちなみに早くなる時はどんな時でしょうか? これは次のような場面があります。上司からの圧力や仕事の締め切りがギリギリの状態などプレッシャーのかかる仕事をしているとき。重要なプレゼンや商談があるとき、スマホなどで動画やSNSを悪い姿勢で長時間視聴しているときなど、私たちは緊張や興奮、危険や恐怖によるストレス下で交感神経が優位になっているとき、呼吸が浅くなっています。

逆に、朝の時間にカフェでゆっくりしているとき、お昼に仲の良い同僚とランチをとっているとき、家族で楽しく食卓を囲んでいるとき、お風呂につかっているとき、安心して眠っているときなどリラックス状態で副交感神経が優位になっているときは呼吸が深くなっています。このように私たちの呼吸はストレス状態かリラックス状態かにより浅くなったり、深くなったりを繰り返しているのです。

人はプレッシャーを感じ緊張すると無意識で息をつめ呼吸が急激に浅くなります。すると脳に届く酸素が減り、ネガティブな感情の増幅につながり、また副交感神経の働きが低下し末梢の血流が低下することで手足の筋肉も硬直しやすくなります。そのことにより、本来のスウィングや体の動きに支障をきたすのです。つまり、生理的にみても浅い呼吸をしていて良いゴルフのパフォーマンスにつながるとは考えにくいのです。

画像: 調子のいいときの呼吸は深く、調子の悪いときの呼吸は浅くなるとメンタルトレーナー池努はいう(写真/三木宗徳)

調子のいいときの呼吸は深く、調子の悪いときの呼吸は浅くなるとメンタルトレーナー池努はいう(写真/三木宗徳)

さて、ここで考えていただきたいことは、あなたが良いスウィング、パッティング、マネジメントができているときの呼吸がどんな状態であるかということです。無意識に行っていることですので、思い出せない人もいるはずです。

その場合は、次回コースを回るときにどんな呼吸をしているのかを観察してみてほしいのです。良いイメージ、良いテンポの流れでプレーできているときの呼吸。失敗イメージが出てきて、あせりや緊張を感じているときの呼吸、というように自分のプレー中の呼吸の状態を観察するのです。

今までサポートしてきた沢山のプロゴルファーへのヒアリングでは口を揃えて「悪いプレーが続いているときは呼吸が浅く、パターに関しては呼吸が止まっている気さえする。一方で、良いプレーができているときは適度にリラックスしていて自然な呼吸(2秒吸って2秒吐く程度)ができている気がする」と答えられます。

結論、今回提案したいことはひとつだけです。プレッシャーや緊張感、呼吸が浅い感覚を感じたら「深い呼吸を数回してみよう」ということです。具体的には呼吸が浅くなったときに効果的な呼吸は吸う:吐くを1:2の割合で行う呼吸法です。おすすめは鼻で息を3秒吸い、口から6秒吐くことです。私たちは呼吸を吐くときに副交感神経のスイッチが入りリラックス状態に向かいます。吐く秒数を多くすることでリラックス側に自分をコントロールするのです。

プレー中に自分のプレーの順番を待っているとき、歩いているとき、ショットを打つ前に球筋イメージを描いているときなど呼吸を整えるタイミングはいくらでも見つけることができます。ヨガや瞑想のブームで注目されている呼吸でのメンタルコントロール、ぜひ試してみてほしいですね。

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