上手い人は集中力を「カップの近く」で使ってる
たとえば狭いパー5。同伴競技者の方が、ティショットで放った美しいドローボールが、OB杭のプレッシャーにも負けず250ヤード先のフェアウェイをとらえたとき。いわゆる“今日イチショット”が出たとき、私は拍手をしつつ心の中で「気をつけて……!」と念じています。
なぜなら、このような場合、セカンドショットでミスをしてしまうケースが、非常に多くあるんです。ティショットで集中力を使い果たしている上に、「せっかくティショットが今日イチだったから、2つで乗せよう!」なんて考えちゃったりして、残り距離が230ヤードもあるのに3番ウッドをマン振りして、グリーン手前に池にハマってしまったりする。それで気がつけば「8」くらい打ってしまう。
もちろん私も過去に何度も繰り返したミスです。しかし、最近では考え方ひとつでこのようなミスは防げるということがわかってきました。
それは、「どうすれば一番楽にパーがとれるか」を考えるということ。たとえば、上の例でいえば、無理に2オンを狙わずにポーンとフェアウェイの広いところに150ヤードくらい打っておけば、残りはウェッジの距離。それをとりあえずグリーンセンターに乗せれば、一般営業のコースの場合ファーストパットはたいがい5、6メートルくらいなもの。そのファーストパットを寄せて、30センチを「お先に」してパー。
これが、「楽々パー」のイメージです。もちろんこんなに上手くいくとは限らず、パーパットが2メートル残るかもしれません。その場合、集中力をマックスそこで使い、全身全霊で入れにいきます。このように、ティショットにマックスの気合を入れるのではなくて、カップに向けて徐々に集中力を高めるようにしていくと、自然にスコアはまとまってくるものです。
こんな風に、2打目は確実に刻んで、3打目勝負でパー5のバーディが非常に多いのが鈴木愛選手です。2打目ではなく、集中力を3打目4打目で使っているんです。
鈴木選手の2019年のパー5平均スコアは4.7134でツアー4位と、飛ばし屋の選手たちよりも上に位置しています。もちろん、彼女の最大の武器ともいえるパッティングあっての数字ですが、それだけパッティングに集中力を温存できているからこその数字とも言えるのではないでしょうか。
それに、いいショットを打つぞ! と考えれば考えれば考えるほど、肩に力が入りますが、どうすれば楽々パーがとれるかな? と考えると不思議と肩の力は抜けるもの。そうして温存できた集中力は、ぜひ入れごろ外しごろのパーパットで使いたいものです。