能力がグンと伸びる覚醒の起こし方
スポーツでは、飛躍的に成績が伸びた選手に「覚醒した」という表現が用いられます。2019年シーズンのしぶこはまさに覚醒した状態でした。
覚醒とは「能力のフタがパッカーンと開け放たれた状態」のことです。
今までできていたことに、どんどんできることが付け加えられてきて、すごく能力が高まったように見える。
いや、実際に高まっているんです。でもそれは、できなかったことが突然できるようになるのではなく、長所にしていた部分が高速で拡張するというイメージです。
ちなみに通常の成長も、長所にしていた部分に肉付けがされていくという構図ですが、覚醒の場合はそれが短期間のうちにとても大きくなるので、突然オ能が花開いたように見えるのです。
コーチも選手も覚醒を意図的に起こすことはできませんが、起きるように準備することは可能です。
覚醒の条件は、選手が自分の長所を把握し、それを使って成果を得ること。武器として持っていた長所を使いこなせるようになったとき、それは起こるのです。
長所の磨き込みが覚醒をもたらす
例えば、よく切れる包丁があったとします。でもみね側を使っていたら、切ることができませんよね。
切れる部分を理解し、そこを意図的に使ってこそ、包丁を使いこなしたことになるのです。
普段の練習や試合は、この覚醒が生まれるきっかけを待つ場です。だから選手が試行錯誤してもがき苦しんでいるのを見ると、「いいぞいいぞ、頭張れ!」と心の中で笑っています。
コーチにできるのは、長所を把握しそれを磨かせておくことです。そして選手が使い方を習得するのを待つ。
どんな人にも必ず長所や、本人が楽しく取り組めることがあります。
まずは一生懸命に取り組める環境を作ってあげましょう。すると、だんだんとその部分が研ぎ澄まされていきます。
そうしたら長所が使える実践の場を作ってあげる。
使いながら磨いていけば、どんな子でも必ず覚醒のタイミングは訪れます。練習で成長を求めるあまり教えすぎたり、試合で結果を求めて焦ってはいけないのです。
「打ち方は教えない。」(ゴルフダイジェスト社)より