ボギー以上確定の状況から見せた「技術」と「粘り」
先日、プロゴルファーの方とプレーをご一緒する機会に恵まれました。一緒にプレーしてみると、プロのすごさがよくわかります。といっても、別に300ヤードを軽々と超えるショットを打つわけでも、10メートルを一発で沈めてくるわけではありません。
私がすごい! と感じたのは、その方がティショットを大きく曲げた場面。行った先は木々の枝が密集していて、どこを見ても抜ける隙間がありません。これは大変だ、打てるところに戻すだけで2打はかかりそう……という究極のアンラッキーともいえる状況です。
そこから、その方が選んだのはなんとユーティリティ。それをチョコんではなくバーン! と打ったボールは地面を勢いよくゴロゴロゴロッと転がってフェアウェイバンカーをも乗り越えて、まさにボールが地を這うごとくに突き進み、見事グリーンが狙えるところまでたどりついたのです。
これはすごかった。あんな球、初めて見ました。さすがにちょっと奇跡的に上手くいったショットだとは思いますが、ユーティリティで地面を転がる球を打つ、そんな技術を隠し持っていることに驚かされたのです。
結局、次のショットでグリーンに乗せ、1パットで見事にパー。ボギー以上確定と思われた状況から、“驚異の粘り”を見せてくれました。
ここから学ぶべきことはふたつあると思います。ひとつは技術の引き出しです。ユーティリティでゴロゴロ転がす球なんて、その場の思いつきでいきなり打てるとは思えません。きっと、10ラウンドに1回使うかどうかというこの技を、そのプロはひそかに練習し、身につけ、時折磨きをかけていたのでしょう。その準備力!
そしてもうひとつは、最後の最後の最後まで、そう簡単にはパーを諦めないというその姿勢です。ゴルフをしていればボギーやダボを打つのは仕方がないことですし、ときにダボを防ぐためにボギーで良しとすることもあります。それでも、ひとつでもいいスコアでホールアウトできる可能性を、最後の最後まで手放さない。1打で人生が変わる世界を生きるプロは、やはりそこが徹底しています。
アマチュアのゴルフは、1打違ったところで変化するのはその日の満足感程度のもの。しかし、だからこそ、それをおろそかにしてはいけないなと、改めて教わった気がします。