PGAツアーを主戦場にする“日本のエース”松山英樹。2017年の「WGCブリヂストン招待」以来勝ち星から遠ざかっているが、その理由とは何なのだろうか。スタッツから読み解いてみた。

国内ツアー8勝、PGAツアー5勝の実績を誇る松山。2013-14年シーズンからPGAツアーに本格参戦し、2017年には日本人最高位の世界ランク2位へ浮上。6年連続でプレーオフシリーズ最終戦の「ザ・ツアー選手権」に出場を果たしていることからもその強さは十二分に伺える。一方で、5勝目となる2017年の「WGCブリヂストン招待」から2020年7月現在に至るまで、優勝の二文字からは遠ざかってしまっている。

画像: 2017年以来、優勝から遠ざかっている松山英樹(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

2017年以来、優勝から遠ざかっている松山英樹(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

その理由はなにか。まずは最新のPGAツアー2019-20シーズン(7/13時点で開催された14試合)と、3勝を果たした2016-17シーズン(22試合)、そして松山が優勝した5試合、それぞれの初日、2日目、3日目、最終日それぞれの平均スコアをまとめたものが以下だ。

シーズン初日2日目3日目最終日
19-2070.2969.0069.0068.83
16-1770.5569.1070.1768.78
優勝時67.0067.4068.0065.80

こうして並べてみると、絶好調だった16-17シーズンも均してしまえば、実は今シーズンの平均スコアとほぼ同じ……というか、今シーズンは試合数自体が少ないため参考程度、とはなるが、むしろスコアはいい。

一方で、優勝した5試合との差は歴然。4日間を通じてシーズン平均よりいいのは当然だが、とくに初日と最終日のスコアが大きく違うことがわかる。では、全日ともスコアが試合全体の平均よりも伸ばせるときの松山は、いったいどこが優れているのか。

まず「SG:パッティング」という指標を見てみよう。SG:パッティングは平たく言えば、距離ごとのパット数を選手全体の平均値と比較して、「何打得あるいは損したか」を数値化する項目。たとえば、3メートルのパットの選手全体平均打数が「1.5」だとしたら、1打で決めればプラス0.5、2打かかればマイナス0.5というように計算される。これを積み重ねて全体のストロークに対するパットの貢献度を測れるわけだ。

過去に松山が勝利した試合(WGC HSBCチャンピオンズのデータは未計測)と、16-17シーズン、19-20シーズンのSGパッティングを比較した表を見ると、同シーズンの平均値が「-.345」とマイナスであるのに対し、優勝した2試合に関してはプラス、とくにWGCブリヂストン招待では「0.759」と大幅に良い数値が出ていることがわかる。

SG:パッティング
14年メモリアル-.033(46位)
16年フェニックス.593(27位)
17年フェニックス.012(47位)
17年ブリヂストン招待.759(15位)
16-17シーズン平均-.345(167位)
19-20シーズン平均-.654(198位)

ブリヂストン招待は5打差をつけてのぶっち切り優勝(ほか3試合はすべてプレーオフ)。パッティングに関しては、その試合の平均レベルに入ってくれれば優勝まで手が届くことがわかる。

その理由がショットにある。次に、SG:パッティングと同様に、ティショットからグリーンまで、パット以外のショットで全選手の平均と比べて何打得をしているかを示す「SG:ティ・トゥ・グリーン」を見てみよう。

SG:ティ・トゥ・グリーン
14年メモリアル3.211(1位)
16年フェニックス3.056(1位)
17年フェニックス3.304(1位)
17年ブリヂストン招待3.737(1位)
16-17シーズン平均1.613(3位)
19-20シーズン平均1.781(3位)

16-17シーズン、19-20シーズンともに全選手よりもグリーンに乗せるまでのショットで平均1.6~1.7打ほど得をしているが、優勝時はさらにすさまじく、3打以上もの圧倒的なアドバンテージを得ていることがわかる。優勝した試合ではすべて全体の1位という切れ味だ。

松山のSG:パッティングとSG:ティ・トゥ・グリーン、2つの数値を鑑みると、優勝時の平均スコアが約2~4打縮まっている理由が見えてくる。つまり「4日間通してショットの調子が良く(約3打以上のプラス)、かつパットが冴えている状態だ。パットさえ入れば勝てるという印象のある松山だが、勝つときはショットもいつも以上にキレているのだ。

そして、先に述べたように、19-20シーズンの各日平均スコアは、松山を世界ランクを2位まで押し上げた16-17シーズンよりもやや良い数値であり「SG:ティ・トゥ・グリーン」の数値も16-17シーズンよりもさらに良化している。

実際、先週ミュアフィールドビレッジGCで開催された「ワークデイ・チャリティオープン」では3、4日目に崩れてしまったものの、初日スコア67、2日目68と、2日目までは過去優勝時の平均スコアを叩き出している。

今週末は優勝経験のある「ザ・メモリアルトーナメント」、しかも2週連続のミュアフィールドビレッジGCでの開催となる。その戦いぶりに注目したい。

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