「ウィルパワー」とは思考や感情をコントロールする力。いざというときに集中力を発揮するためにはこの「ウィルパワー」を効率よく使うことが大事だという。指導するメンタルトレーナー池努がそのコツを教えてくれる。

ウィルパワーは補充しないと減っていく

「集中力を高めたい」とゴルファーから相談されます。集中力とは選択的に1つのことに注意をむける力のことです。目の前のワンプレーに毎回集中することができれば良いパフォーマンスを出せることは誰もが知っていること。しかし、それが簡単ではありませんよね。コース形状、風や天候、前ホールでのミスや他者からの評価、未来への不安などが目の前のプレーへの集中を邪魔し、集中できないことは日常茶飯事です。しかし、メンタルトレーニングでは集中力は開発できるものとして認識されています。今回はその集中力の高め方についてご紹介していきます。

画像: コースに出ると風や天候、コースセッティングなど集中を邪魔する「意思決定の数」は多い

コースに出ると風や天候、コースセッティングなど集中を邪魔する「意思決定の数」は多い

集中力の源は前頭葉にあります。人間と他の動物の脳を比較すると前頭葉の大きさに違いがあり、この前頭葉の発達により他の動物にはない、人ならではの思考や感情を可能にしています。そして、この思考や感情をコントロールする力は「ウィルパワー」と呼ばれています。

ウィルパワーは前頭葉の体力のようなものです。人が集中するときもウィルパワーを使っていることになります。このウィルパワーはペットボトルの水のように補充をせずに使うとなくなっていきます。つまり、ウィルパワーは容量を大きくするか、不要な消費を減らしていくことが集中力の維持や発揮では大切になります。

このウィルパワーを無駄に消費せずに使いたい対象に使い、集中力を発揮する方法について紹介していきます。まずはこのウィルパワーを無駄に浪費している対象を明らかにしていきましょう。ずばり、ウィルパワーを奪うものは「意思決定の数」と「アンコントロール思考の数」です。

人は朝起きて寝るまでの1日に、100回近くの意思決定をしていると言われます。朝食は何にするか、シャツの色や柄は何にするか、仕事は何からスタートするのか、ランチは何にするか、取引先との交渉はどのような選択を行うのか、どこまで仕事を終わらせるか、夕食は何を作るか、食べるかというように「何かをすると決める」「何かをしないと決める」などの選択や判断を繰り返すことで脳は決定疲れを起こしウィルパワーは減っていきます。

また「過去のミスを悔やむ」「未来に対して不安になる」「他者評価を気にする」ことなど、アンコントロール思考とは「コントロールできない対象への思考」を指し、それがウィルパワーを奪っていきます。

朝一のラウンド開始時期は頭もスッキリとしやる気も高かったが前半のラウンドが終わり食事をとり、後半のラウンドで終わりが近づくにつれて「意思決定の数」と「アンコントロール思考」により、集中力が減っていくことは当然なのです。

さらに言うと同伴者が気を遣うべき相手だったとしたらゴルフ中の会話や失礼のないような対応などにより意識を使い、さらに良い評価を得ようと他者目線を気にすることでラウンドが後半にさしかかるときにウィルパワーを消費し、くたくたになるということもあるかもしれません。これを一般的には「気疲れ」というのでしょう。

では、この気疲れを減らすことができるのでしょうか? キーワードは「マインドフルネス」と「ルーティン」です。

これはマインドフルネス的な考え方になりますが過去や未来、他者評価が気になってもそれを消そうとするのではなく、気にしている自分も認め、目の前のとるべき行動・プレーに注意を向けていくことです。つまり、コントロールできない過去や未来や他者評価をコントロールしようとせずに手放すというマインドセットにしておくことです。

また、ルーティンに関しては例えば、自分が意思決定の苦手なプレーに対してはルーティンをあらかじめ決めておくことです。例えば、グリーン上でのパッティング・ルーティン(深呼吸2回→ラインを読む→ボール横でラインに転がすイメージをしながら素振りを2回→打つなど)を決めておき、それを遂行すると決めておけば意思決定の数も最小限になりますし、アンコントロール思考も排除しやすくなります。

それらが結果的にウィルパワーを節約することになり集中力を保つことにつながります。今回は集中力の源であるウィルパワーの節約方法の一例をご紹介していきました。あなたのゴルフに、または仕事に何かしら活かせることがあれば幸いです。

画像: 藤田寛之が語る!プロゴルファー人生で最も“賛否”のあった一打 youtu.be

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