従来モデルの持ち味を維持しつつ、つかまりが向上
今年の年2月7日に発売され、上半期のクラブ売り上げ記録でウッド類の1位を総ナメにしたテーラーメイドのSIMシリーズ。クラブの性能はもちろん、使用プロの活躍やデザインなども市場に大いに評価された結果だろう。
そんなスタートダッシュを決めたSIMシリーズだが、さらにそのポジションを盤石とするべく早くもドライバーに追加モデルを導入してきた。それがSIM MAX-Dだ。
SIM MAX-Dドライバーは、ほかのSIMシリーズよりもフェースを大型化し、ヒール側にウェートを搭載することでつかまり性能を高めた仕様になっている。
なぜ売れている中での追加モデルを導入するのか、また実際の性能はどうなのかをクラブフィッターの小倉氏に試打、分析してもらった。
「SIMシリーズのドライバー、とくにSIM MAXは直進性が高く、低スピンの弾道が打ちやすいので曲がりにくく、飛距離の出やすいクラブとして市場で高く評価されていました。その反面、一部からボールがつかまえきれないという声も聞こえていました。SIM MAXのヘッドが直進性を高めるため、ヘッド左右慣性モーメントを高めた仕様になっているからです。ヘッド左右慣性モーメントが高いとスウィング中のフェースローテ―ションが大きいゴルファーは、フェースをインパクトでスクェアに戻しきれないことが増えてしまうんです」(小倉氏、以下同)
SIM MAXは低スピンのボールが打ちやすいのでスライス系の弾道でも飛距離は得やすい。とはいえ、アマチュアにとってつかまらないドライバーは怖さを感じるもの。そこで、SIM MAXと同等の飛距離性能を持ち、なおかつつかまりの良いモデルとしてSIM MAX-Dが投入されたわけだ。
モデル名に付く「D」とはドローバイアスの頭文字で、ネーミングからもつかまりを意識していることが分かる。実はこのDが付くつかまりのいい兄弟モデル、米国では「Mシリーズ」などの過去モデルにもラインナップされていたのだが、日本では未発売という状態だった。それが今回、SIMシリーズで初めて日本市場でも発売されたというわけだ。
さっそく小倉氏にSIM MAXとSIM MAX-Dを打ち比べて、つかまり具合の変化などをチェックしてもらった。まずはSIM MAXの性能をおさらいしてみよう。
「SIM MAXを改めて試打しましたが、やはり低スピンの強い弾道が打ちやすいですね。ライナー性の弾道で私くらいのヘッドスピード(43m/s)ぐらいだとちょっとロフトを多めにしたほうがキャリーも稼げて飛ばせます。曲がりに関しては、ストレートを意識して打つと落ち際で軽く右にスライドしていくフェード系。ややつかまえに行っても中々左に曲がるドロー系の弾道が出にくいです。ヘッドの操作性が穏やかなぶん弾道も狙ったところにドンッと飛んでいきますが、直進性が高い反面、つかまり性能も抑えられています」
次にSIM MAX-Dを構えた小倉氏。性能のベースとなっているのはSIM MAXだが「ヘッド形状からして違いますね」という。
「SIMシリーズのほか2モデルはトゥ側にボリュームがあるいわゆる洋ナシ形状ですが、SIM MAX-Dはやや真ん中からヒール側よりにボリュームがあり、より丸形に近い形状です。またフェースも大型化されており、よりミスに強そうな印象があります。コスメもほかのSIMシリーズとは微妙に変わっていて、クラウン部のテーラーメイドの「T」のロゴもSIM MAX-Dのほうがわずかにヒール側に寄っていますね」
実際に打ってみると、「ちょうど良いつかまり性能です」と小倉氏。
「SIM MAXがストレートでちょっとフェード気味だとするとSIM MAX-Dはストレートでちょっとドロー気味な弾道になりますね。ボールが自然とつかまるので弾道もさらに強い印象があります。ボールをつかまえられるとフェースが立ってインパクトされるので通常高さが出にくくなるのですが、その辺はしっかりとチューニングされているのか高さもちゃんと出ますね」
ほかのSIMシリーズと同じ飛距離性能を持ち、なおかつ適度なつかまりを持つSIM MAX-Dを、小倉氏は「間違いなくシリーズの中で一番やさしいヘッド。一度SIMシリーズを諦めた人も試す価値はありますよ」と評価した。