今週木曜日から開幕する今年初のメジャー大会「全米プロゴルフ選手権」。その公式記者会見で松山英樹、ジャスティン・トーマス、ブルックス・ケプカら注目選手たちが語った。3連覇を狙うケプカが「メジャーがもっとも勝ちやすい」という、そのワケは⁉

4年連続メジャー勝利なら史上5人目の快挙

今年初のメジャー「全米プロ」がいよいよ今週、サンフランシスコ・TPCハーディングパークで開催される。

当初5月に開催予定だった「全米プロ」は新型コロナウイルス感染拡大により、8月に延期。無観客で開催されることになり、メディアの数も絞って、ほとんどの媒体がリモート取材でのみ許可されている。2019〜2020年ツアーの中では唯一開催されるメジャーとなるが、現地入りしている注目の選手たちの情報をお伝えしよう。

今年は松山英樹、石川遼の2名の日本人選手が出場するが、松山英樹は6月のPGAツアー再開後5試合出場し、予選落ちは2回。先週のWGCフェデックスセントジュードインビテーショナル20位タイが最高位となっている。今年初のメジャーが8月に開催されることは4月初旬には決まっていたが、コロナ禍の影響でメジャーへの照準が合わせづらい部分はあったのだろうか? 現地の水曜日に行われた練習日の公式記者会見で松山英樹は次のように語った。

「今年初のメジャーが今週に決まった段階で、どういうスケジュールで、どういう練習をするかというのはPGAツアーが再開される段階で想定していたので、そういうことで悩むことはなかったですね」

画像: PGAツアーが再開される段階から、全米プロを見据えていたと松山英樹は言う(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

PGAツアーが再開される段階から、全米プロを見据えていたと松山英樹は言う(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

開催コースのTPCハーディングパークはサンフランシスコ郊外のパブリックコースだが、気温が低く、海に近いということもあり、飛距離が出にくいという。

「ここ最近では気温がもっとも低いし、ボールのディスタンスは大事になってくると思う。そこをうまく計算できたらいい」

2013年以降、全米プロには過去7回出場し、予選落ちは1度もない。2017年のクエールホローでの大会では中盤、単独首位に立ったもののジャスティン・トーマスに逆転優勝を許し5位タイに終わっている。「今週はいいプレーができるようにいい準備をしたい」と気を引き締めた。

また、今週最大の注目選手と言えば、先週今季3勝目を挙げたばかりの世界ランク1位、フェデックスカップランク1位のジャスティン・トーマスだろう。彼も松山同様、今年で8度目の出場を果たしているが、2017年全米プロでメジャー初優勝を遂げている。

画像: 今季3勝、現在世界ランク1位のジャスティン・トーマス(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

今季3勝、現在世界ランク1位のジャスティン・トーマス(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

「コロナでツアーが中断中、ボクはすごく一生懸命練習したんだ。そのおかげで調子がいい日はいいけど、悪い日もそれなりにマネージメントして、うまく回れるようになってきた。メジャーでは調子が悪い時もなんとか感情やゲームをコントロールして、悪いなりにうまく回るということが必要だからね」

先週のWGCフェデックスセントジュードインビテーショナルでは、ショットもパットも調子がよかったというが、唯一ウェッジショットがうまくいかず、ピンに寄せることができなかったという。しかしそんなショートゲームの状態にも関わらず、優勝することができたことに彼は自信を持っている。

ただ、トーマスはエースキャディのジミー・ジョンソンが体調不良のため、先週からジム・マッケイ(愛称ボーンズ)がバッグを担いでいる。ボーンズは長年、フィル・ミケルソンのバッグを担ぎ数々の勝利に貢献してきたレジェンドキャディだが、ここ最近はキャディバッグをマイクに持ち替え、ゴルフ中継のラウンドレポーターに転身していた。ジミーがバッグを担げないということになった時、一番初めに頭に思い浮かんだのがボーンズだった。

「本当は(コーチでもある)父にキャディをやってもらいたかったけど、暑さの中で4日間キャディをやるのは難しかったと思う。僕はとにかく、自分のゲームをよくわかっている人にキャディをやってもらいたかったんだ。ボーンズならフィルのキャディをやりながらボクのプレーを何度も見ているし、以前ソニーオープンで担いでもらったこともあったから、わかってくれている。彼は先週とてもいい仕事をしてくれたよ」

ボーンズは先週のWGCの大会の優勝にも貢献し、今週の全米プロでもバッグを担ぐことになっている。

また、今大会で全米プロ3連覇がかかっているブルックス・ケプカの存在も無視はできない。ツアー再開後、予選落ち2回、RBCヘリテイジ7位、メモリアルトーナメント62位タイと本調子ではなかったが、先週のフェデックス・セントジュードインビテーショナルでは優勝争いの末、2位タイに入った。昨年、CJカップでは左ヒザ痛で棄権。3ヶ月の治療を余儀なくされて以来、彼らしくないゴルフが続いて「フラストレーションがたまっていた」というが、メジャー男もようやくエンジンがかかり始めたようだ。

画像: 3連覇をかけて全米プロに臨むブルックス・ケプカ(写真は2019年のシュライナーズホスピタル 撮影/姉崎正)

3連覇をかけて全米プロに臨むブルックス・ケプカ(写真は2019年のシュライナーズホスピタル 撮影/姉崎正)

「今、自分の調子がすごくいいんだ。ショットもパットも自分の思い通りに打てている。日々、どんどんよくなっているよ」

実際、絶好調だというケプカの感覚に成績はまだ伴っていないようだが、自分への期待感はとても大きいという。現在、世界ランク1位を巡ってジャスティン・トーマス、ジョン・ラーム、ダスティン・ジョンソン、ローリー・マキロイらがひしめき合っているが、ケプカは非常に大きな自信を持っており、優勝することで再び世界ランク1位に返り咲けると信じている。

「ボクはメンタルがとても強く、ショットも必要な時、必要な場所に打つことができる。以前にも言ったことがあるが、メジャーは最も勝ちやすい試合だ。セットアップが難しいから、それだけで出場選手の半分は脱落するし、残りの半分の中にも調子の悪い選手はいるから、それで半数を消すことができる。ボクは精神力が強いから、他の選手たちをやっつける自信がある。メジャーでは特に体力よりも先に精神力でやられてしまう人が多いから、そういう意味でボクは強いんだと思う」

もし今年優勝すれば、全米プロ3連覇を果たすケプカ。ウォルター・ヘーゲンは4連覇を遂げているが、その歴史的な大記録に次ぐ記録を樹立することになる。2017年全米オープン以降、メジャー8試合中4試合で優勝。毎年最低限でも1勝は挙げている。今季で唯一のメジャーである全米プロで優勝すれば、4年連続でメジャー優勝を果たすことになるが、それを成し遂げた選手は過去、ウォルター・ヘーゲン(1924年〜1929年)、ジャック・ニクラス(1970年〜1973年)、トム・ワトソン(1980年〜1983年)、タイガー・ウッズ(1999年〜2002年、2005年〜2008年)の4人しかいない。

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