2020年の大ヒットドライバーとなったテーラーメイドの「SIM MAX」。そのドライバーを購入し、エースとして使っていたティーチングプロの永井延宏は、とあるチューニングを施すことでさらに大幅な飛距離アップに成功したという。果たして、その中身とは!?

重りを外してヘッドを超軽量化。シャフトを伸ばしてヘッドスピードUP!

この春から使っているテーラーメイドのSIM MAXドライバー。いい結果は出ていたのですが、どうもまだクラブの性能を100%引き出せていない感じがしていました。どうも打感が硬く、ボールが潰しきれていないのがストレスです。

画像: 永井が施した“覚醒チューニング”とは!?

永井が施した“覚醒チューニング”とは!?

その理由として考えられるのは、やはりヘッドスピード不足。コースでコントロールして打つモードになると、ちょっとクラブに負けている感じです。それは、7月10日金曜日におこなわれた日本シニアオープン1次予選会に向けた調整で露呈し、慌てて過去のエースクラブを引っ張り出したりもしました。

この時に、ずっと頭の中にあったのが、その昔、テーラーメイドが白いヘッドに移行した「R-11」のヘッドに、フォーティーンの48インチドライバー「ゲロンディ」の専用シャフトともいえる「ワイドSYB・180ID」という長尺ビッグバット(注:手元側が太い)シャフトを入れて使ったときの感覚です。長さは47インチ程度だったと思いますが、明らかにヘッドスピードがアップして、まったく別モノになったのが、とても印象的でした。

なので、試合当日まで1週間という頃、たまたま自宅にあったグラファイトデザインのIZ−5(X)を長尺化し、ヘッドスピードアップにトライしてみよう! と、馴染みの工房でシャフトを継ぎ足し伸ばして貰いました。長さは46.25インチに決定。

それまでは60グラム台で45インチのシャフトをSIM MAXに入れて振っていたので、10グラムの軽量化と1.25インチの長尺化をすれば、明らかなヘッドスピードアップが感じられると思いました。

ここで問題となるのはヘッド重量です。継ぎ足して長くしたクラブを振ってみると、やはりヘッドが重くて振り切れません。そこで、ヘッド最後部に装着されているタングステンウェイトを、トルクレンチで外してみました。

画像: SIM MAXのタングステンウェイトは18グラムとヘビー級。これがあるからこそミスヒットに強いのだが……

SIM MAXのタングステンウェイトは18グラムとヘビー級。これがあるからこそミスヒットに強いのだが……

外したタングステンウェイトを計ってみると、18グラムありました。他メーカーも併せて、18グラムというのは、ドライバーヘッドにはめ込むウェイトとしては一番重い部類だと思います。

この段階でスイングバランスを計ったら、「C3」でした。ヘッド重量は、スリーブ抜きで175グラム。調べてみると、SIM MAX のヘッド重量は193グラムが公表値ですから適正です。

ここに鉛を貼って加重していきました。まず、タングステンウェイトのネジ穴を覆うのに1グラム程度。そしてヒール側に4グラムくらい鉛を貼りました。コレは、いわゆるドローバイアスの効果を狙っています。

画像: ウェートを外したヘッドに鉛を貼って調整

ウェートを外したヘッドに鉛を貼って調整

そして、手にしてみると、なんとなくいい感じです。スイングバランスは「C6」くらいまで出てきました。この調整を終えたのは試合の1週間前の金曜日です。週末も微調整を繰り返しながら馴染んでゆき、火曜日の指定練習日の朝、ドライビングレンジで前のエースドライバーと打ち比べてみたら、差は歴然。練習場の正面がネットなのですが、ボールが当たるところがまったく違います。

インパクトのエネルギー感にも差があり、45インチでは感じることができなかった、ヘッドがたわんでボールを潰しにいっている手応えが出てきました。やはり、ヘッドスピードがアップしたことで、SIM MAX のヘッドのポテンシャルを引き出せるようになったと思いました。試合モードで気合を入れて叩き、会心の当たりでキャリー260ヤードを越えていました。シニアでは十分な飛距離です。

試合は予選落ちでしたが、このドライバーへの自信は次へとつながります。今回のSIM MAX の試合前調整は、見事、成功となりました。

そして、この長尺SIM MAX の成功に感化された、スクラッチプレーヤーの私の生徒さんが同じ挑戦をされ、先日、その仕上げのラウンドフィッティングをおこなってきました。

生徒さん、シャフトはグラファイトデザインの最新版である「XC-5(S)」を46.25インチで用意されています。それにネットで購入された11グラムのタングステンウェイトを、SIM MAX に装着してのスタート。オリジナルは18グラムあったので、ここでマイナス7グラムはできていますが、やはり朝イチはヘッドの重さによる振り遅れ的なミスが見えました。

この日はプレーのペースも遅く待ち待ちなので、3番のティーイングエリアで早速タングステンウェイトを外して、鉛による調整を試みました。

画像: プロや上級者など、ミートに不安がない人にとっては長尺化&ヘッドスピードアップはメリットとなる

プロや上級者など、ミートに不安がない人にとっては長尺化&ヘッドスピードアップはメリットとなる

とりあえず私のヘッドに貼った鉛を参考にしながら、気持ちよく振ってもらってヘッドスピードアップが期待できそうな感じで仕上げましたが、狙いどおりドンズバでハマりました。計測器ユピテルで計測しながらのプレーでしたが、インパクト効率の数値が上がってきているといいます。

「今までは、インパクト効率値は平均で1.4を越えるイメージはなかったのに、この2ホールではインパクト効率値は1.4を越えてきているし、ヘッドスピードもいつもより出ています!」

私としては、ヘッド重量を軽くしながらも、インパクト効率値がアップしているという結果は、まさにしてやったり。46.25インチのSIM MAX が覚醒してくれました。

今回、私が取り組んだSIM MAXを覚醒させる調整法、下にまとめたいと思います。

【1】まずはタングステンウェイト(18グラムが標準と思われる)を外してみる。

【2】スリーブの重量は約7グラム。それを加味しながら、自分に最適なヘッド重量をイメージする(クラブ長さやシャフト特性も含めて)。

【3】タングステンウェイトを外した【1】のヘッド重量と、自分に最適なヘッド重量【2】の差により、鉛を貼る量が決まる。その鉛を貼る位置で、ヘッドに特性を持たせる。

覚醒のキーポイントは、自分の中でのヘッドスピードアップです。特別な努力をしなくても、何かヘッドスピードが上がる要素を入れてあげると、劇的な変化が得られる可能性があります。

「SIM MAX を買ってみたけど、どうもイマイチ……」

というゴルファーは、中古ショップにいく前に、この調整法にトライしてみてはいかがでしょうか?全く別のクラブに仕上がりますよ!

※注:試す際には工房などに依頼し、専門家のアドバイスのもと行ってください。

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