なぜコースに出ると、いつもの練習場では一回も出ないようなミスが出るのか。それは、練習場とコースの環境が大きく異なるからだと私は思います。
たとえば、もっとも本番から遠い状態での練習は、オートティアップされるボールをなにも考えずにバカスカ打つ練習です。パカンと打って右に大きく曲がり、同じように打ってまた右に大曲がり。3発目にナイスショットが出れば気分は爽快で、打った本人は「これだな」なんて満足しがちですが、コースではその1打は5打目です。
それに、平らな場所からノープレッシャーで打つ一打と、池やOBが視界に入り、スコアの状況も頭のなかをチラつく環境で打つ一打では難易度が大きく異なるものです。
どうすれば、練習場とコースを近づけられるか。基本としてオススメなのが、石井忍プロの書かれた本で読んだ練習の考え方です。
たとえば150ヤード先の看板を狙ってみるとします。そして、150ヤード先を狙ったら、たとえば次は150ヤードの看板の5ヤード右、その次は150ヤードの看板の5ヤード左、といったように毎回ターゲットを細かく変えて打つとより効果的だというのです。
さらに、たとえば150ヤードの看板の左側はすべて池、というふうに右か左か、どちらかには絶対に曲げないと決めて打つとさらに練習はシビアになります。できるかできないかは問いません。左にだけは絶対に曲げないぞと思って打ったボールがどチーピン、なんてことはよくあることです。
ここで大切なのは、このように少しでも自分の心に負荷をかけながら練習すること。そうすることで、緊張下で自分の体はどのように動くのか。その結果、どんなミスが出やすいかを練習場にいながらにして、知ることができます。
たとえば100ヤードの看板に1発で当たったら欲しいものを買う! そう決めて打ったボールが毎回引っかかるというなら、それがプレッシャー下で出る球ということ。アプローチウェッジやピッチングウェッジではなく、7番アイアンのハーフショットのほうが、結果は良くなるかもしれません。
ノープレッシャーでの練習が全面的に悪いわけではありません。ただ、コースでいいパフォーマンスを出すためには、少しでも練習場をコースに近づける工夫が求められる。そんなことを覚えておいてもいいのではないでしょうか。