石川遼のコーチ兼キャディとして海外メジャー「全米プロゴルフ選手権」の場に立ったゴウ・タナカこと田中剛。同大会で田中が感じた「日本人選手が海外で戦うために必要なこと」について語る。

“飛ばないけど精度で勝負”は難しい

全米プロゴルフ選手権のフィールドに石川遼のコーチ兼キャディとして立った田中剛は、その難コンディションを目の当たりにして「日本人選手が戦うには飛距離が必要」だと改めて感じたという。

画像: 全米プロに参戦した石川遼は、通算2オーバーで予選落ちを喫した(写真は2019年のブリヂストンオープン 撮影/岡沢裕行)

全米プロに参戦した石川遼は、通算2オーバーで予選落ちを喫した(写真は2019年のブリヂストンオープン 撮影/岡沢裕行)

「飛距離については良く言われることですが、間違いなく必要です。具体的に言えば300ヤードをキャリーで飛ばすこと。PGAツアーにはものすごい高弾道の選手が本当に多いです。それはつまり、高い球でキャリーを出せる特性を持った選手が残りやすい世界だということです」(田中、以下同)

では飛距離が足りない場合どう戦うのか。田中は「ショット精度を高めるという答えになってきますが、それにも限界はあります」と続ける。

「“飛ばないけど精度で勝負”は(PGAツアーのレベルでは)無理かなと思います。予選通過まではいけても、上位で勝負するには本当にすべてがかみ合わないとできない、現実的ではない気がします」

たとえば全米プロを制したコリン・モリカワは精度の高いショットが持ち味で、全米プロ最終日ではフェアウェイキープ率85.71%いう優れたパフォーマンスを叩き出しているが、同時に飛距離も平均301.5ヤード飛ばしている。精度の高いショットにもある程度の飛距離は求められるのだ。

しかしそもそもの話、モリカワは今シーズンを通しての平均飛距離が295.9ヤードで107位タイ(2020年8月11日時点)と、PGAツアーのなかでは飛ばないほう。それだけツアー全体の平均飛距離が高いことが伺える。

では、足りない飛距離を精度以外の部分で補うためにはどうすればいいのか。それはマネジメントだ。

「当たり前の話ですけど、飛距離や技術、足りない部分をマネジメントで補うことはできます。もちろん、それらを十分に持っている選手にとっても同じく重要ですが」

石川の全米プロは一打足らずに予選落ちを喫してしまったが、マネジメント面では「明るい材料もありました」という。

「(全米プロに向けて)準備してきたマネジメントはハマったなと感じています。今のスウィングの完成度のなかで『これくらいのブレ幅が出てきてしまうだろう』と想定して、残ったアプローチの距離やラフからのショット、そしてそこからどういったパッティングが残ってくるか。そういう部分はしっかりやって対応できたので収穫ですね」

細かい取り組みは伏せつつも「ロングゲーム、アプローチ、パット……(PGAツアーで)より必要になるであろうことは重点的にやってきました」という。

そういった新しい取り組みをしながら、「(国内男子ツアーの試合の多くが中止となって)試合勘がないなかですごく良く対応できたというのが、二日間を振り返った印象です」と田中。また、PGAツアーの試合数をこなすことの重要性も改めて感じたという。

「普段通りの力を発揮するためにも、PGAツアーに出ることが当たり前というくらい、あの場に馴染むことが大事です。スポット参戦で良い成績を出すのはかなりの能力を持っていかないと厳しいと思います。なるべく多くの試合に出て(PGAツアーのフィールドに)違和感がない状態にしておくのもすごく大事だなと思いました」

全米プロの経験を経て、国内男子ツアー開幕、そして次のPGAツアー参戦へ向けて、石川と田中の取り組みは続く。

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