「NEC軽井沢72」の最終日。16番パー5のドライバーショットと、2オンを狙った残り195ヤードを6番アイアンでピン手前にドスンと落としたショットに度肝を抜かれたのは私だけではないはずです。今季の注目選手として何度も記事にしてきた笹生優花選手ですが、1戦目の「アース・モンダミンカップ」で5位タイ、2戦目の「NEC軽井沢72」で優勝と早速頭角を現しました。
スウィングを見てみると、まずアドレスは左手はややストロンググリップで握り、スタンスはワイドスタンス。そこまで特徴的ではオーソドックスと言っていいアドレスをしています。かたさが見られず、いかにも動き出しやすそうに構えています。
そこからのトップの画像をご覧ください。フラットで頭から遠い位置に手元が上がり捻転が深く、見るからにエネルギーが蓄えられた、躍動感のあるトップです。(画像A)
トップの段階で飛びそうな予感に満ち溢れていますが、ダウンスウィングも飛ばしの要素が満載です。まず、切り返し。左に水平に踏み込んでから、下半身を強烈に回転させていきます。このとき、上半身はアドレス時同様にリラックしていることで、シャフトが体に巻き付くように手元に引っ張られ、結果非常に強いタメができています。
そして、切り返しで踏み込んだ左足が、地面からの反力を使うことでインパクトではしっかりと伸びています。この力により腰を回転させ、クラブがインパクトへと導かれています。非常に強い下半身の力と、飛ばすための効率の良い使い方、その両方を身につけていることが見て取れます。
笹生選手のドライバーショットを計測すると、ヘッドスピードは46.5m/s、ボール初速は66m/sを超えているそうです。男子プロ並みの数字です。
3Dモーションキャプチャー、地面反力の計測器、弾道計測器を使ってクラブフィッティングを担当した埼玉越谷スタジオの浅谷理氏によると、ドライバーでの重心移動は飛ばし屋に見られる、テークバックで右、切り返しで左、インパクトに欠けて右に戻り、フィニッシュでは左へとZの文字を描くように移動するといいます。
ところが、アイアンのときには左右に穏やかに移動する使い方で、一転して正確性をアップさせているとのこと。言うまでもなくありませんが、ただ飛ばすだけの選手ではありません。
計測時、地面反力の数値も女子では見たことがないような数値を叩き出し、そのことからも下半身の強さを感じたといいます。
笹生優花選手は2018年の「フジサンケイレディスクラシック」に17歳で出場し、葭葉ルミ選手(283.333ヤード)に次いでドライバー飛距離2位(282.5ヤード)になっています。当時、月刊ゴルフダイジェスト誌がフィリピンまで赴き、飛距離の秘密を探るべく5ページの特集を組んでいましたが、下半身を徹底的に鍛え飛距離アップを目指している様子が見られます。これは動画で見られますので、ぜひご覧になってみてください。
昨年のプロテスト通過後、長いトーナメントの開催されない時期を経て、1戦目のアース・モンダミンカップでは5位タイ、2戦目で優勝と一気に頭角を現すことになりました。米ツアーを目指すという19歳のこれからに期待せずにはいられません。