マルチタスクタスクよりもシングルタスク
あなたのゴルフはマルチタスクになっていませんか? コースに出て「ショットはあれとこれとここを意識する」「アプローチはこことここを意識する」「マネジメントではあれとこれを意識する」と。たくさんの課題やポイントを意識しすぎることがせっかく練習で培ってきた動きが出せない、コースになるとスウィングが変わってしまう、そんな人はもしかするとマルチタスクをシングルタスクに変えることがパフォーマンスアップのきっかけになるかもしれません。
この「マルチタスク」という言葉はビジネスの場面で使うことが多いですね。いくつものプロジェクトや作業を並行して行いながら、沢山のメンバーと仕事を調整できるようなスキルがあれば当然仕事のパフォーマンスは高まります。しかし、実際に行動経済学や心理学などの複数の研究によりマルチタスクは生産性を下げることが証明されています。
マルチタスクはシングルタスクに比べて作業時間が50%長くなり、作業効率を40%以上低下させるとともにミスも増加することが確認された実験もあります。この情報はゴルフに当てはめてもある程度同じような結果が出ると感じるのは私だけではないと思います。
スウィングやパット、マネジメントにおいていくつもの課題やタスクを自分に課していたとしたらパフォーマンスは発揮されるでしょうか? 初心者の人でこれからどんどん技術を高めていく段階にあるゴルファーは中級者、上級者に比べタスクが多くなる傾向にありますが、キャリアがあるゴルファーでもコースに出るとマルチタスクになっている人も多いようです。
そして、自分のゴルフが悪くなればなるほどスウィング理論や体の使い方など様々な対象に意識をもっていきがちだと思います。そして、色々な対象に注意を向けることで、できていることもできなくなるような悪循環に陥ることはゴルフだけでなく様々なスポーツでも相談されることのひとつです。
私がサポートしてきたプロゴルファーの共通点として試合で「良いゴルフができているときはシングルタスクでプレーできている」「悪いゴルフになってしまうときはマルチタスクでのプレーになる」という傾向があります。この傾向を知ったゴルファーはひとつのことに気づきます。それは「悪いゴルフをしているときほどシングルタスクにすべき」ということです。
ひとつのポイントを意識すること、ショットで気を付けるワンポイントだけを意識し徹底することやルーティンやリズムだけを徹底して守る。そのように悪いゴルフをしているときほどシングルタスクが必要だと気づきます。
こんな話をすると反論として「うまくいっていない点がいくつもあるのにそれを無視してゴルフできない」と言われるのですが、試合中にその技術的な課題を解決できる可能性は高いでしょうか?
かつてある日本のトップゴルファーと会話をしていたときに次のような質問をさせて頂きました。「〇〇さんは技術的に調子が悪い試合は何を意識してプレーされますか?」するとその選手は「調子が悪いときは、その自分でボールを次の地点へ運ぶことしか考えませんね」まさにこれがシングルタスクだと思います。
もちろん、経験があるからこそできることかもしれませんが「調子が悪い」こと自体を修正するのではなく今日の自分でできることに意識をむけるだけというシンプルな思考がその選手をトップレベルにさせるひとつの要素だと感じたことを覚えています。
この記事を読んでシングルタスクが自分に必要なポイントだと感じた方はぜひ、「シングルタスクゴルフ」を試してみてはいかがでしょうか?