今週開催のPGAツアープレーオフシリーズ2戦目「BMW選手権」に参戦しているキャメロン・チャンプのシューズが話題となっている。白と黒、左右で違うシューズを履く理由はなにか。

BMW選手権の初日、キャメロン・チャンプは「Equality」(平等)と書かれたキャップを被り、右足は白、左足は黒と左右非対称のシューズを着用。そして、白のシューズの側面には「Jacob Blake BLM」と手書きの文字があった。

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「Jacob Blake」とは、今月23日にアメリカのウィスコンシン州ケノーシャで起こった銃撃事件の被害者ジェイコブ・ブレーク氏、末尾の「BLM」は人種差別抗議活動の標語である「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)」を指す略称。

同事件に対する抗議活動は各スポーツ界でも拡大しており、女子テニスでは大坂なおみが「ウエスタン・アンド・サザン・オープン」準決勝の棄権を表明したことが日本でも広く報道された(大会側との協議の結果、大坂は28日に棄権表明を撤回)。

「たしかに(出場辞退についても)考えていました」とチャンプはPGAツアーのインタビューに対し回答したが、最終的には、事件が起こった地から100マイルのオリンピアフィールズで行われる同大会に出場し、シューズとキャップに意味を込めて自分の意志を表明することに決めたのだ。

チャンプは今年、そして昨年のフェニックスオープンでも同じシューズを履いて出場。同大会が開催される2月、アメリカでは「ブラックヒストリーマンス」という黒色人種の偉人の歴史を改装する年間行事が行われており、チャンプはその活動のサポートのために黒と白のシューズを着用していた。

画像: 今年、そして昨年のフェニックスオープンでも黒と白の左右非対称のシューズで出場していた(写真は2019年のフェニックスオープン 撮影/姉崎正)

今年、そして昨年のフェニックスオープンでも黒と白の左右非対称のシューズで出場していた(写真は2019年のフェニックスオープン 撮影/姉崎正)

チャンプが人種差別運動に対して精力的にメッセージを発信する理由は、彼のルーツにもある。チャンプの父はアフリカ系アメリカ人で、母はコーカシアン(白色人種を指す言葉)。1940年代にテキサスで育った祖父のマック氏は黒色人種で、パブリックコースでキャディを務めていたが肌の色を理由にプレーは許されなかったし、レストランなどの利用も拒否されていたという。

「多くの人々にとってそれ(人種差別)について話したくない状況で、それは私も理解しています。ただ、同時にそれは現実に起こっていること。私たちが住む世界で、です。人々は長い間この問題を無視していましたが、今まさに爆発寸前のところまで達しています。これ(今回の事件)は氷山の一角なんです」(チャンプ)

根深い人種差別問題に対し、チャンプは今後もメッセージを発信し続ける。「私が信じていることや変える必要があると感じていることについて広め、気付きを与えたい。私はできるだけやるつもりです」と米メディアにコメントを寄せた。

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