難セッティングの中、アプローチでパーを拾い続けた
PGAツアーもいよいよシーズン王者を決めるファイナルウィークがやってきました。前週は松山英樹選手が難コースで粘り強いゴルフを展開し、初日を首位でスタートし、最終日後半まで優勝争いに絡みましたね。最終的には2打及ばず、順位は3位タイで競技を終了しましたが、フェデックスカップランク30位までしか出場できない最終戦「ツアー選手権」をランキング10位で迎えています。
前週の「BMWチャンピオンシップ」は過去に全米オープンが開催されたことがあるオリンピアフィールズ北コース(7366ヤード、パー70)。 深いラフと硬いグリーン、そして突風混じりのシカゴ独特の風に選手達は苦しみました。
そんな中、松山選手は契約先のスリクソンの新ドライバーを投入してドライビングディスタンスは出場69人中10番目の325ヤードを記録していました(計測ホール1番と15番)。 しかしフェアウェイキープ率は39%(56位)、パーオン率は51%(55位)と低迷。 そんな中で光っていたのはグリーン周りからのリカバリーでした。
グリーン周りのショットのスコアへの貢献度はダントツの1位(+1.52)。パーオンは72ホール中37回だったのでパーオンを外したホールは35回。 その中でパーセーブができたのは25回。 加えて3日目はスタートホールでグリーンそばのバンカーから直接決めてイーグルを決めるなどショートゲームは冴えていました。
PGAツアーのラジオ担当でラウンドレポーターを務めるウィル・ハスケット氏は松山選手のショートゲームを称え「アメージング(素晴らしい)」の連発。しかし辛口解説者でツアー優勝経験のあるデニス・ポールソンは「ヒデキはティショットも左右に荒れているし、グリーンを狙うショットは欲を出し過ぎで苦しい展開だ、最終日まで同じようにパーは拾えきれないだろう」と厳しいコメントを3日目に話していましたが、最終日もパーセーブを繰り返すに松山にポールソンはハスケットと同じように「アメージングなショートゲームだ」と絶賛していました。
次は松山選手の72ホールのパッティングデータを見てみましょう。
1メートル以内:100%(42回中42回成功)
1メートル以上 3メートル以内:74%(31回中 23回成功)
3メートルから5メートル25%(8回中 2回成功)
5メートルから7メートル0% (6回中 0回成功)
ちなみに優勝したラームは3メートルから7メートルで 20回中 7回沈めていました。解説のポールソンは松山のパッティングについて「ヒデキはショットは彼自身のリズムを常に保っているけれど、パッティングになると構えから打つまでの動作、そしてストロークのリズムがまだ完成されていないように感じる」と語っていました。
さて今週は7年連続で挑戦する「ツアー選手権」ですが、ジョージア州アトランタにあるイーストレークでの成績は下記のようになっています。
シーズン年度 | 試合前ランク | 最終戦順位 | 初日 | 2日目 | 3日目 | 最終日 | スコア | 試合後ランク |
2014 | 28位 | 22位 | 71 | 71 | 71 | 73 | 286 (+6 ) | 28位 |
2015 | 15位 | 12位 | 69 | 72 | 69 | 70 | 280 (0) | 16位 |
2016 | 17位 | 5位 | 66 | 71 | 68 | 69 | 274 (-6) | 13位 |
2017 | 7位 | 26位 | 75 | 68 | 73 | 70 | 286 (+6 ) | 8位 |
2018 | 27位 | 4位 | 72 | 66 | 71 | 65 | 274 (-6) | 13位 |
2019 | 15位 | 9位 | 66 | 75 | 66 | 71 | 278 (-2) | 9位 |
2020 | 10位 | ? | ? |
昨年に続いて今年もハンディ制の最終戦、初日のスタート時でトップのダスティン・ジョンソンと松山の差は6打(編注:最終戦までの順位に基づき、ジョンソンは-10から、松山は-4からスタート)。 昨年はスタート時で5打差のマキロイが優勝、2位は6打差のX・シャウフェレだったので松山選手にも十分チャンスありですね。
冴えるショートゲームに加え、従来のショットのキレとパッティングが絡んでくれることを期待しましょう。
※内容を一部修正しました (2020年9月3日23時48分)