レーシングカーのパフォーマンスはアマチュアには荷が重い
先日ご一緒した方に、タイガー・ウッズの大ファンという方がいました。
好きなプロのクラブは使ってみたくなるのがゴルファー心理。ご多聞に漏れず、その方も60グラム台の「TX」フレックスのシャフトが差さったドライバーを使っていました。気持ちはよ〜くわかります。でも、使いこなせないですよね(笑)。
プロレーサーは、普通の、まったくチューンしていないクルマでも速く走ることができます。しかし、我ら一般人がチューンナップされたレース用のクルマを運転しても、その性能を引き出すことはおそらくできませんよね。同じコースを周回するならば、乗り慣れてる普段のクルマのほうがむしろ好タイムが出そうです。
タイガーやトッププロたちが使うクラブは、まさにレースカーです。そして、レースカーがサーキットを0.1秒でも速く駆け抜けるためにチューンナップされているように、プロたちのクラブは8000ヤードに迫る距離、深いラフ、硬く、速いグリーンといったプロツアーのセッティングに対応するための調整が施されています。
それに対して、普段ぼくらアマチュアがプレーするコースは、サーキットではなくいわば公道ですよね。そこで求められるのは、アクセル全開で300キロに達するようなパワーや、ちょっとハンドルを切るだけで急激に曲がるような操作性ではなく、むしろハンドルから手を離しても大丈夫なクルーズコントロールや、18ホール使っても疲れない燃費の良さです(笑)。
歯を食いしばってMAXの集中力で打ったときに最高の結果になるクラブではなく、適当にポーンと打ったときに、次が打てるところにとりあえず行ってくれる。そんなクラブが“公道”では強い。
たとえばスライサーならばなおさらです。重心角が大きく、アップライトで、シャフトのしなり量も大きいクラブを使えば、フェアウェイという車線をはみ出さずに走行できる可能性は大いに高まりますし、それはイコールOBや池ポチャといった事故を減らすことにも直結します。
プロにはプロのクラブ。アマチュアにはアマチュアのクラブがあります。憧れのプロと同じクラブを使うのもゴルフの楽しみのひとつではありますが、結果を出したいと思うなら、サーキットを速く走れるクラブではなく、公道をラクに走れるクラブを選ぶことをオススメします。