「プロも昔に比べたら、少しロフトが立ってきているんですよ」(藤田)
「(2打目地点から)短いクラブで打てるというところで、プレーに余裕を持てるというとことが飛び系アイアンを使うメリットですよね。あとは『最近アイアンが飛ばなくなってきた』というゴルファーにとっても、ゴルフがまた楽しくなってきたりする効果もあると思います」
そう飛び系アイアンを使うメリットを話すのはツアー18勝(国内メジャー3勝)の藤田寛之。
藤田がクラブ契約しているヤマハには、飛び系アイアンの代名詞的クラブ「インプレスUD+2」がある。ただ、藤田を筆頭に賞金王の今平周吾、有村智恵ら契約プロたちはこのクラブを使っていないが、それは彼なりのこだわりがあってこそだ。
「プロってどちらかというとコントロール性を重要視しているんです。飛距離だけではなくてポイントを攻めるためのスピン、そしてボールを曲げて打つ技術、風の中でコントロールしていくことが必要。だけど、飛び系だった場合、そういったコントロール性は失われてしまうんですね」(藤田)
“コントロール性”を重視した結果、藤田が選んでいるのは「RMX020」という7番のロフトが34度のマッスルバック。だが、今後はプロゴルファーでも飛び系アイアンを採用するようになっていくのではと分析してもいる。
「プロも昔に比べたら、少しロフトが立ってきているんですよ。若い選手はRMX220や118のように3度くらいロフトが立っているクラブも使っていますし、今後そっち(ロフトが立つ方向)に行くと思いますね。自分のプレースタイルに対して、どういう風なクラブのセッティングをしていくのかというところはプロでもUTを使ったり、ロングアイアンを飛び系だったり、ちょっと(ボールが)上がるようなのを入れる人もいる」(藤田)
「RMX120」の7番アイアンのロフトは31度とプロモデルとしてはロフトが立っているし、「RMX220」は29度と飛び系アイアンのカテゴリに入ってくる。これはヤマハだけの傾向ではなく、プロモデルでも徐々にストロングロフト化は進んでいる。その流れに沿って、ロフトの立ったアイアンを採用するプロも徐々に出てくるのかもしれない。
では、我々アマチュアゴルファーはどうするべきか? 藤田は「アマチュアゴルファーは、7番アイアンまでを飛び系にするというのもいいかもしれない」という。6番や7番を飛び系にして、8番以下のグリーンを狙っていきたい番手は飛び系ではないものを組み合わせるという考え方だ。もっとも、そうするとロフトの都合上、7番の下がまた7番といったことなる可能性もあるが……。
その上で、飛び系アイアンを選ぶときのポイントも教えてくれた。
「飛び系アイアンを選ぶときは、ロフトがどれくらいあるのかと、ボールが上がる性能があるかを確認することが大事。インプレスが評価されているのは飛ぶけど、ボールが上がって止まるというところになると思うんですよね。まずは見た目が評価できるかということと、グリーン上で止まるかという2つが判断材料になると思います」
飛び系だからいい! 飛び系だからダメ! とどちらか一方に決めつけず、自分のプレースタイルに合わせてセッティングに取り入れていくのが賢い飛び系アイアンとの付き合い方のようだ。