やさしく飛ばせるSIMグローレ。FWとUTの性能は?
テーラーメイドが日本のゴルファーに向けて開発した「グローレ」。モデル名が示す通り、やさしさが売りのグローレシリーズに「SIM」シリーズのテクノロジーを融合することでさらなる飛距離性能も獲得したという「SIMグローレ」。
そのフェアウェイウッドとユーティリティの性能をテストするべく、千葉県・太平洋クラブ八千代コースに持ち込み、プロゴルファー・中村修が試打。同施設内に設置された弾道計測器「トラックマン」を用いてデータも計測してたしかめた。
使用したのはFWがロフト角15度の3番。UTが19度の3UT。純正シャフト「Airスピーダー TM」Sフレックスを装着して試打を行った。
3番でもしっかり高さが出る「SIMグローレ FW」
まずはFWから見ていこう。
「ソールのウェート位置などを見ても、つかまりやすく、ボールを上げやすい設計になっていることがわかります。結構シャローヘッドなので、構えたときに球を上げてくれそうな安心感がありますね」(中村、以下同)
中村がSIMグローレFWを5球打った平均値は以下の通りだ。
キャリー:205.4ヤード
総飛距離:220.3ヤード
ヘッドスピード:40.4m/s
ボール初速:59.8m/s
打ち出し角:13.7度
スピン量:3995rpm
「打ち出し角13.7度と非常に高さが出ていますね。弾道に関してもつかまりが良い。右に曲がっちゃうかな、という当たりでもフェアウェイセンターに収まってくれます。フェース自体の弾き感は強いです。ヘッド自体の性能に加えて、純正シャフトも柔らかめなので、インパクト付近で走って球を上げてくれていますね」
今回試打した3番ウッドは、地面から打つ番手のなかではもっとも長いクラブ。フェアウェイから打つのはなかなかハードルの高い1本だが、SIMグローレに関しては「全然打てますし高さも出ますね」と中村は言う。
FWをそのまま1UTの形状にしたような「SIMグローレ レスキュー」
続いてSIMグローレ レスキューを見ていこう。
「ソールの形状を比べてみるとわかりやすいですが、FWと同様にボールの上げやすさも重視したドローバイアス設計。FWが持つ性能はそのままで、形状はUTにした、という印象です。ネックが短めなことからも、余計な部分をそぎ落として球が上がりやすく、つかまる方向に内部重量配分していることが分かりますね」
現行の最新UT「SIM MAXレスキュー」と言えば、ロリー・マキロイをはじめPGAツアープロもバッグに入れていて、それだけになかなかハードな仕上がりなのだが、SIMグローレはどうか。
「まず構えた印象ですが、SIM MAXレスキューと非常に似ていますね。すごくストレートで、構えやすいです」
5球打ったデータの平均値は以下のようになった。
キャリー:193.7ヤード
総飛距離:208.1ヤード
ヘッドスピード:38.8m/s
ボール初速:57.9m/s
打ち出し角:13.5度
スピン量:4426rpm
「曲がり幅が少ないですね。打った感触としては、フェースがしっかりボールを弾いているのを感じます。ヘッドスピードはドライバーで言うと42m/s前後のイメージですが、それに対するボール初速も高いですね。打ち出し角も13.5度と、しっかり高さが出ています」
FW、レスキューそれぞれを打ち終えた中村。どちらも好感触のようだったが、スペックを決める最の目安はなにかあるのだろうか。
「まず注意点として、軽量化のためにいわゆるカチャカチャ(ネックの調整機能)が搭載されていないので、気軽にシャフト交換ができない点。純正シャフトはAirスピーダーのみですが、メーカーが言うところによれば適正ヘッドスピードは38~42m/sだそうなので、もっと振れるよという方はカスタム対応になるかと思います。でもそれに見合うヘッド性能は持っていると思いますし、デザイン的にも番手間のつながりも良いので、アベレージゴルファーもパワーヒッターもぜひ試してみてほしいですね」
SIMとは異なり、上がる・つかまるという性能の強いSIMグローレ。クラブにやさしさを求めるゴルファーは、一度試したいFW&UTだ。
取材協力/太平洋クラブ八千代コース