オートマチック過ぎないから狙ったところに打ち出しやすい
ゴルフ歴が長いゴルファーほど、「ビッグバーサ」という名のクラブに馴染みがあるのではないだろうか。1991年に登場した初代はミスに強くやさしいと評判となり、国内で10万本を売り上げるなどキャロウェイとビッグバーサの名前を一気に轟かせた立役者。
ドライバーのチタン過渡期である95年にはステンレスヘッドよりはるかに大きなサイズでこちらも大ヒットとなった「グレートビックバーサ」、97年にはこちらもヒット作である「ビゲストビッグバーサ」、それ以外でも度々キャロウェイの歴史に登場し、歴史上でビッグバーサの名前なしではキャロウェイを語れないほどのビッグネームなのである。名前だけでなくそのテクノロジーや設計思想は、同社の様々なクラブに引き継がれている。
そんなビッグバーサの名を冠した最新のシリーズが「ビッグバーサ」。メーカーの説明によるとドローバイアス、つまりつかまりの良い設計でスライスを軽減し、飛距離UPの期待できるモデルだという。

キャロウェイ「ビッグバーサB21」
しかしスライスでお悩みのゴルファーに向けたつかまりの良いモデルのポジションとして、キャロウェイはすでにマーベリックMAXというモデルを展開している。同ブランドで競合しないのか? という点も含め、どんなクラブに仕上がっているのかクラブフィッターの小倉勇人氏に解説をお願いした。
まず小倉氏は、同じくつかまえて飛ばすというコンセプトを持つマーベリックMAXとビッグバーサを比べると「振った印象は結構違いますね」と話す。
「マーベリックMAXは自然とヘッドがターンしてくるような仕様で、インパクトでフェースがややオートマチックに左に向くような仕様になっているのに対し、ビッグバーサはつかまることはつかまるんですが、低スピンで直進性を高めている印象があります」(小倉氏、以下同)
ヘッド形状は角の丸い三角形で「投影面積も大きく自然とつかまりそうな形状」だというが、実際に振ると「ヘッドがオートマチックに返ってくるといった感じではなく、小さな力、意思で自然とターンしてくれる感じ。ちゃんとコントロールを受け付けてくれるので狙ったところに打ち出しやすかったです」と評価。
つかまり具合に加えて「クラブ重量にもマーベリックMAXとの違いがみられます」と小倉氏は言う。
「マーベリックMAXは純正シャフトSフレックスで約290グラム。対するビッグバーサは純正シャフトSフレックスで約301グラムと10グラム以上重いんです」
となると、ビッグバーサは比較的パワーのある方に向けたモデルと言えそうだが、実際に打ってみると「決してそんなことはないと感じました」と小倉氏。
「たしかに重量があるためにパワーがある方はビッグバーサとの相性が良いですが、しなやかにしなりつつ、芯のある純正シャフトのおかげでパワーがなくても振り抜きやすい仕上がりになっています。ヘッドスピード38m/sぐらいあれば、十分つかまった強い弾道が打てると思います。軽量のクラブを持ってもヘッドスピードが上がらないゴルファーには、ビッグバーサはスライサーでなくても強くお勧めしたいですね」
取材協力/ユニオンゴルフクラブ