狭いホールで「右に曲げてOBは嫌だな」と、右だけは避けよう! とスウィングしたのに打ったボールは右OB……これってどうにかならないの? 不安が現実になってしまう、このゴルフあるあるの対処法をプロも教えるメンタルコーチ・池努が教えてくれる。

練習ではうまくプレーできているのに、ラウンドやコンペになると練習の動きができない…

このように悩んでいるアマチュアゴルファーやプロゴルファーからよく相談を受けます。そこで、そのひとつの解決策を提案します。キーワードは「イメージ」です。

私たちは何かの行動をとる前に必ずイメージを描き、行動に移します。机の上にあるペットボトルを右手で取り、飲むという行動をとるときにも無意識にその一連のイメージを脳裏では行っているのです。ゴルフでも同じでスウィングをマイナーチェンジするときも必ず実践する前にイメージをつくりスウィングをするという行動をとる、ということをしています。つまり、「行動よりイメージが先」なのです。

そして、私たちは基本的にイメージが体全体に指令を出し、できる限りイメージ通りに体を動かそうとします。(もちろん、体の筋肉や連動性などイメージに対して体の機能が追い付いていない場合はイメージに対しうまく体は連動してくれません。今回の記事はイメージ通りに体を動かせる状態であることを前提で進めていきます)

フェアウェイが狭い右にも左にもOBがあるようなホールで「前みたいに右に曲げてOBにしてしまいそう」と思うと脳内ではその「OBになるようなスウィングをし、ボールを右に曲げるショットを打っている自分」を明確にイメージしてしまっています。そのイメージをした状態でスウィングすればどうしてもそのイメージに近い体の動きになることは当然のことです。

画像: 人には狭いホールで曲げてOBにしてしまうなど未来の不安をイメージしてしまう習性がある(写真/大澤進二)

人には狭いホールで曲げてOBにしてしまうなど未来の不安をイメージしてしまう習性がある(写真/大澤進二)

練習ではうまくショットが打てるのに、コースでは練習の動きができないというのは上記のように「ミスをするイメージ」「OBになるイメージ」「曲げてしまうイメージ」が理想のショットイメージに勝っている可能性があります。「ミスイメージ>理想イメージ」となっているのであればどうしても実際のスウィングもミスイメージに引っ張られることが多くなります。

ミスをするかもしれない、OBになるかもしれない、曲げてしまうかもしれない。人はこのように未来の不安を先にイメージしてしまう習性があります。このような現象を社会心理学では「自己成就予言」といいます。これは自分自身の「こうなる」という強い想いをもって行動すると実際にそのイメージが成就してしまう現象のことです。

では、どうすればコースでも理想のイメージを描きプレーできるのかを紹介していきます。今回提案するものは2つあります。1つだけやる、2つともやる、どちらでもOKです。では確認していきましょう。

ラウンド前にイメージトレーニングをする

ラウンド前に今日のラウンドで実践したいスウィング、球筋のイメージを明瞭にカラーで音付きで描いてみてください。目をつぶり、まずはスローモーションでイメージし、それを通常のスピードでイメージする。ショット、アプローチ、パターなどすべて一連の流れでイメージトレーニングしてもいいかと思います。車の中などリラックスかつ集中できる場所で3~5分程度でできると思います。

プレー前のルーティンに明瞭なイメージを加える

たとえばショットであればボール後方から「ここに打とう」と球筋イメージをするかと思いますが、そのイメージをいつものイメージより、意識的には3倍くらい明瞭にイメージをするつもりで本気でイメージを描いてください。「〇〇なスウィングをしてボールが××な軌道でピンそばに落ちる」と。

これらのイメージトレーニングを活用することで自分が発揮したいプレーを出すことにつながります。もちろん、ゴルフのミスには環境的要素、身体的要素、心理的要素とたくさんのミスの要因がありますのでイメージだけですべてを解決してくれるわけではありません。ですが、一つの解決策として試してみる価値は十分にあります。ピンときた方は実際に試してみてほしいですね。

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