「できるはず」の思い込みが再現力の足を引っぱる
ゴルフダイジェスト編集部(以下、GD):練習場でできることがコースでできない、コースで同じ球が続かないといった問題は、なぜ起きるのでしょう。
目澤秀憲(以下、目澤):できることとできないことが整理できていないケースが多いですね。コースだと、ライや風の状況によって、当然、練習場と同じではない場面も出てくるわけで、そこで「できるはず」と思ってしまうとあらゆるミスがおこります。
黒宮幹仁(以下、黒宮):私たちコーチの仕事は、「できることだけさせる」、「できないことはさせない」ということも含まれますからね。
目澤:トッププロでも、長く活躍している人は、自分の弱点を理解して、それに合ったスウィングマネジメントができます。今は、スウィングチェックできる機器が充実しているので、アマチュアも弱点がデータでわかります。弱点を理解したうえで、練習ではその部分を強化しつつ、コースでは、弱点が露呈しないようなマネジメントを心がけるといいですね。
黒宮:ゴルファーなら誰でも、「あれもこれも」と試してみたくなるのは当然ですが、先ばかり見ていると、途中で自分を見失ってしまうことも多いんです。だから、「振り返る」というのは意外に大事で、今、自分がどのあたりにいるのか、振り返って確かめることが必要です。それをしておかないとコースへ出た時に拠りどころがなくなります。
目澤:「弱点補正」の取り組み中は、「行ったり来たり」を繰り返すことが往々にしてあります。私が教えている生徒さんのなかにも、少し前に教えたことをすっかり忘れて、できなくなっている人がいます。真剣に取り組んでもそうなってしまう場合には、別のやり方を提案するとか、こちらも真剣になります。
黒宮:私たちコーチは、生徒さんに寄りそうことを第一に考えていますが、生徒さんにはとにかく私たちを信頼してほしい。レッスンの内容を受け入れてもらえないと、結局、上達=再現力が遠回りになることが多いですから。
戻る場所をもっておく、練習をしていますか?
GD:弱点克服のためには心がけることは?
黒宮:いかに早く、スウィングのコツをつかめるのか。コツというのは「自分なりの上手くいくやり方」です。それがあれば、そこを重点的にやるだけでいいですからね。
目澤:スウィングのポイントをひとつだけに絞ることができれば、ミスが出ても、「戻る場所」ができます。コースで緊張感があるなかでも対応できるし、再現性も高くなります。
黒宮:「いいミス」を繰り返すことが上達の近道ですね。やるべきことがわかっていて、それができずに起こるミスは「いいミス」です。いいミスは克服できます。
同じ球を続けるには、最下点の安定に尽きる
GD:最後に質問を戻して、もう一度聞きます。「同じ球を続ける」のに必要なものとは?
目澤、黒宮:「最下点の安定」です。
黒宮:スウィングの円弧がいつも同じ場所にあれば、最下点の位置も同じになる。毎回、地面の同じ場所を叩けることになるので、打球が安定して、それがスウィングの安定につながります。最下点が右にずれると、ボールに「届かない」と感じるので、リリースが早くなりミスが起こります。
目澤:プロもアマも、最下点の安定を目指す点は同じで、そこからどのくらいスピードを上げるのか、精度を求めるのか、という話になります。アマチュアの方は、フェースの向きや軌道を気にする傾向がありますが、最下点がそろってくれば、それも自動的に良くなるぐらいの気持ちで、「最下点最優先」で練習するといいですよ。それが「同じ球」への第一歩です。
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