コロナウイルスの流行により、今年は日本ではなくカリフォルニア州のシャーウッドCCで開催された「ZOZOチャンピオンシップ」。3日目を終えて世界ランク3位のジャスティン・トーマスが単独首位に立ち、世界ランク2位のジョン・ラームが1打差の2位につけていたが、世界のトップランク2人を逆転し、3打差でスタートしたパトリック・カントレーがツアー3勝目を飾った。今大会の優勝で、フェデックスカップランク2位に、世界ランクも9位に浮上した。
「ここのところずっと調子はよかったけど、今週は本当に何もかもがうまくいった。(最終日の)今日は唯一ボギーを叩いてしまったけど、バーディも十分取れてたし、気持ちを入れ替えてプレーできたよ」
最終日は9バーディ、2ボギーの65をマーク。「最終日に9バーディ」は彼自身のベスト記録で、過去7回達成している。もともとショットメーカーとして定評のある彼だが、最近パターを変えたことで今週はパッティングもよく決まったという。
以前から使用していたパターと変更後のパターの違いは、モデルこそ全く同じ(スコッティ・キャメロンのニューポート2のGSSモデル)だが、より重めでハーフインチほど長め。全英オープンのようにグリーンが遅いコースでは時々パターを変えてタッチを調整しているというが、ZOZOのコースのグリーンも雨が降り、ソフトで遅めだったため、リズムよくストロークでヒットしたいカントレーは、重めのパターを使うことで、ヒット感を出すことなく、転がりのいい球が打てたそうだ。
「このパターに変えて3〜4試合、戦っているよ。少しハンドファーストに構えるようにして、アドレスでフェース面をもう少しスクエアにしているんだ。今日はこのパッティングで本当にいい感じだった」
カントレーが気持ちよくプレーできたのは、他にも理由がある。彼はカリフォルニア州出身で、シャーウッドから車で1時間半ほどの場所で生まれ育った。このコースは過去、ラウンドしたことはなかったというが、カリフォルニアのこの時期の、雨まじりの曇り空には昔から慣れている。他の選手たちが天候に対して不満の声を漏らしていたのに対し、「この曇りがちなカリフォルニアの天候が好きだ」と語った。
そして、地元で優勝したということも、彼にとってはいい思い出に。もし今週の試合がカリフォルニア開催でなければ、おそらくカントレーはこの試合には出なかったはずだ。彼は通常、3週間連続で試合に出ることはない。「シュライナーズ・ホスピタルズ・フォー・チルドレンオープン」、「CJカップ@シャドークリーク」と2試合連続でラスベガス開催の大会に出場し、その足で隣の州で開催の「ZOZOチャンピオンシップ」に出場したのだった。
今年最後のメジャー「マスターズ」は3週後に控えているが、その間の2試合には出ずにオフを取るという。「ピークがちょっと早かった?」と記者に聞かれると「いや、そうは思わないね。タイガーが去年優勝した試合の一つ(ZOZO)に優勝したんだから、今度はもう一つの試合(マスターズ)に勝てるように頑張るよ」とコメント。地味だが、気がつけばリーダーボードの上位に名前を連ねている印象が強いツアーの実力者が、虎視眈眈と初メジャー優勝を狙っている。