米女子ツアー平均飛距離1位は、笹生優花と同じナショナルチームで戦った選手
今季米女子ツアーのスタッツの中で現在平均飛距離の項目でトップに立っているのが、フィリピン出身のツアールーキー、ビアンカ・パグダンガナンだ。
現在23歳のパグダンガナンは身長約162センチと決して飛ばしに恵まれた背丈ではないが、その平均飛距離はなんと288.762ヤード。付け加えれば、トーナメント単位で見るとパグダンガナンは7月開催の「LPGAドライブオン選手権」ですでに3日間平均300ヤードを達成しているのだ。
もちろん飛距離はコースコンディションや風、天候にも左右されるため一概には言えないが、少なくとも女子プロ界にも300ヤード時代が近づいていると言って良いだろう。
渋野日向子の米国でのプレーをウォッチするなかで彼女の存在を知り、気になっていたというプロゴルファー・中村修によれば、パグダンガナンと日本のゴルフファンとの間にはある“接点”が存在するという。笹生優花だ。
「パグダンガナンはフィリピン代表のナショナルチームメンバーとして2018年の『アジア競技大会ゴルフ競技』に笹生とともに出場し、女子団体の部で金メダルを勝ち取っています。笹生選手も男子プロ並みのヘッドスピードから放たれるドライバーショットを武器に、ルーキーイヤーにして今季2勝を果たしている選手ですよね。彼女たちの飛距離の秘密は、ナショナルチーム時代の切磋琢磨によるものも大きいのではないでしょうか」(中村、以下同)
DJやマキロイ、男子プロたちの飛ばしのエッセンスを取り入れている
ではビアンカはどのようなスウィングで圧倒的な飛距離を叩き出しているのか。中村は「LPGAが公式Twitterで投稿した動画を見ると(一番左がバグナンガン)、『これは飛ぶよね』という体の使い方をすべて取り入れています」という。
「まずアドレスでは下半身をどっしりと構えつつ、テークバックは手元を体から遠い位置へ上がるワイドな形で、上半身も深く捻転させていきます。このワイドなテークバックはロリー・マキロイをはじめ、PGAツアープロにもよく見られる動きですよね。加えて、インパクト前後に地面を蹴り上げる力によって左足が地面から浮いてしまうくらい、地面反力を活用して回転力に変えていることがわかります。さらに、ダスティン・ジョンソンのような、インパクト以降にグリップエンドを引く動きも使っています」
男子プロも取り入れる飛ばしのエッセンスをスウィングに加え、掛け算することで300ヤード級の飛距離を生み出しているという。さらにパグダンガナンという“具体例”がいることで飛距離アップの流れはさらに進むのではないかと中村は言う。
女子プロが平均300ヤードを当たり前のように飛ばす時代。一昔前では予想もできなかったが、案外それはすぐそばまで来ているのかもしれない。ビアンカ・パグダンガナンという名前を覚えておこう!